独大衆紙ビルトが習近平に突きつけた果たし状――川口マーン恵美氏が読むドイツメディアの変化
月刊誌Hanadaに掲載された川口マーン恵美氏の論文をもとに、ドイツ最大部数の大衆紙ビルトが中国と習近平国家主席に突きつけた強烈な公開書簡を紹介する。新型コロナウイルスをめぐる中国の責任、知的財産の盗用、監視国家体制を批判し、従来の親中・反日的なドイツメディアの構造にも言及する。
2020-05-27
如何に自虐史観の塊とは言え、彼らほどの馬鹿は世界のどこにもいない。
心底で自分達を侮蔑している国民を常に称賛する、そんな馬鹿があなたの国のTV放送局だとしたら、どんな気がする?
以下は、発行部数No.1独大衆紙が、習近平に宣戦布告、と題して昨日発売された、日本国民のみならず世界中の人たちが必読の月刊誌Hanadaに掲載された、作家、川口マーン恵美の論文からである。
川口さんはドイツ人と結婚してドイツに暮らしている人である。
彼女の論文は、私のドイツ人に対する論説が正しかった事も証明している。
反日、親中、親韓のドイツ人。
そのようなドイツ人を作りだした事にも、朝日新聞は大いに貢献しているのだ。
そんなドイツの実態を知ってか知らずか、NHK等のテレビメディアは、日本政府を批判する、或いは日本を貶めたいと彼らが考える時には、必ず、ドイツを引き合いに出し、称賛する。
如何に自虐史観の塊とは言え、彼らほどの馬鹿は世界のどこにもいない。
心底で自分達を侮蔑している国民を常に称賛する、そんな馬鹿があなたの国のTV放送局だとしたら、どんな気がする?
_______________________________
中国への賠償請求に言及
まず、事実を述べる。
ドイツの日刊紙「ビルト」に、四月十五日、「中国は我々にどれだけの借りがあるか」というタイトルの記事が載った。
サブタイトルは、「ビルト紙がコロナ請求書を提示」。
書いたのは、同紙の編集主幹、ユリアン・ライヒエルト氏。
内容は、コロナを蔓延させた中国は世界に対して賠償金を支払うべきだというかなり過激なもので、ほとんど果し状に等しい。
ライヒエルト氏は、ドイツの請求額を一千五百億ユーロ、約十八兆円と試算した。
それに対し、ベルリンの中国大使館は即日、返答を公開。
書いたのは報道官の女性、Tao Lili氏。
このなかで彼女は、「全世界が苦しんでいる感染症の責任を一国だけに押し付け、賠償を請求するというのが悪趣味であるということはさておくとしても、この記事はいくつかの明らかな事実を無視している」と、手厳しく反撃した。
さて普通なら、ここで中国に非難された側、つまりビルト紙が謝罪をして事が終わる。
これまでは、ダイムラーであろうが、ディオールであろうが、アメリカのプロバスケットボールチームであろうが、皆、中国大使館の怒りを買った者はそういう運命をたどった。
ところが、ビルト紙のライヒエルト編集主幹はどうしたか?
なんと翌日の夜に、謝罪ではなく、攻撃の勢いをさらに強めた書簡を発表したのだ。
宛名は「プレジデント習近平」。
しかも、ライヒエルト氏本人がその書簡を朗読しているビデオが付いており、それがYouTubeにもアップされた。
ビデオには、ご丁寧に中国語のテロップが付いていた。
もっとも、これが中国本土で公開されるとは思えないが。
「盗難の世界チャンピオン」
手紙はこう始まる。
「貴国の大使館からの私宛の公開書簡を拝受。私たちがビルト紙上において、コロナウイルスが現在世界中にもたらしている巨大な経済的損失を中国が賠償するべきではないか、という問いを提起したからだ。あなたの大使館はそれを”下劣なこと”といい、私がナショナリズムを煽っていると非難した。それに対して、いくつかのことを言わせてもらいたい」
そしてライヒエルト氏は、以下の五つのことを箇条書きで示した。
下記はその全訳。
①あなたは監視により国を統治している。監視なくして、あなたというプレジデントはいない。あなたは国民全員を監視しつつ、しかし、伝染病の危険を有する市場を監視することは拒絶する。すべての批判的な新聞やインターネットのサイトを閉鎖しながら、蝙蝠スープを売る屋台は閉鎖しない。あなたは国民を監視するだけでなく、危険に陥れている。それどころか、世界全体を。
②監視は自由を奪う。自由のない人間は創造的ではあり得ない。イノベーションの精神が欠けると発明はできない。だから、あなたは自分の国を知的財産の盗難の世界チャンピオンにしてしまった。中国は自分の発明ではなく、他国の発明で豊かになった。その理由は、自由に考えることを禁止したからだ。中国の最大の輸出品、誰も欲しくもないのに世界に出回ってしまった輸出品の目玉が、コロナである。
③あなたと、あなたの政府と学者たちは、コロナが人から人へと感染することをとっくに知っていたのに、あなたはそれを世界に知らせなかった。西側の学者たちが、武漢で何が起こっているのか問い合わせていた頃、あなたの側近たちは電話を取らず、メールに返事も出さなかった。あなたは、あまりにもプライドの高い国家主義者であったがために、真実を国の恥だと感じ、それを公表しなかった。
④『ワシントンポスト』は、武漢の複数の研究所が、安全基準を守らないまま、蝙蝠を使ってコロナウイルスの研究をしていたことを報じている。なぜ、毒の研究所は、政治犯の刑務所のように防護されていなかったのか? あなたは、それを世界中で悲しみにくれているコロナの犠牲者の妻や、夫や、娘や、息子や、両親たちに、一度、説明するつもりなのか。
⑤あなたの国では、あなたについて皆がヒソヒソと囁き始めた。あなたの権力は揺らいでいる。あなたは、得体の知れない、不透明な中国を作った。それは、非人間的な監視国家であり、死に至る伝染病を広めた国だ。これがあなたの政治的遺産である。
教養人は手に取らない?
そして終わりに、こう書く。
「貴国の大使館は、私が”両国民の伝統的な友好関係”に背いているという。私が思うに、あなた方にとっては、寛大な態度で世界中にマスクを送ることが偉大な”友好”なのだろう。私はそれを友好ではなく、冷笑を浮かべる帝国主義と呼ぶ。あなたは中国発の疫病を使い、中国を強大にしようとしている。私は、しかし、あなたがそれによって自分の権力を強めることはできないと思う。コロナは遅かれ早かれ、あなたの政治生命に終止符を打つだろう。敬具 ユリアン・ライヒエルト」
かなり強烈である。
これにはビルト紙の読者もびっくりしただろうが、おそらく一番度肝を抜かれたのは、同業者であるジャーナリストたちに違いない。
私は現在、ここまで中国に盾突ける人間は、トランプ米大統領をおいて他に知らない。
*川口さん、ここにも一人いまっせ、今を生きる空海、信長が*
最近でこそ、ドイツメディアもだんだん中国批判を扱うようにはなってきたが、たいていは環境や人権の問題を撫ぜている程度だ。
つまり、日本人にしてみれば、どれもこれもとっくの昔から知っていたことばかり。
とはいえ、ずっと中国礼賛のニュースばかり聞かされてきたドイツ国民は、それでも十分に驚く。
ところが、今回のライヒエルト氏の記事は次元が違う。
攻撃対象は、二酸化炭素でもなければ、PM2.5でもなく、アフリカで象牙を取るために象を殺している密猟者でもない。
習近平国家主席、中国の核心なのだ。
いったい、この恐れを知らない人物は何者なのか?
彼には家族はいないのか……?
いや、その前に、まずビルト紙である。
ビルト紙はタブロイド判の大衆紙で、ドイツで最大の販売数を誇る。
ある程度教養のある人は、絶対に手に取らない新聞と言われている。
たしかに、芸能界やスポーツ界のゴシップからエロまで何でもありで、見出しの大きさが、しょっちゅう拳の大きさくらいになったりするセンセーション好きの新聞ではある。
碌でもない記事も多いが、おそらく大衆の読みたいものを全部てんこ盛りにすると、こういう新聞が出来上がるのだろう。
たしかな取材力
ただ、バカにしてはいけない。
ビルト紙は部数が多いがゆえに、票を気にする政治家たちが、決して無下にはできない新聞でもある。
しかも、政治欄が玉石混交ではあるものの結構面白い。
さらにいえば、大衆向けなので一本の記事が短く、とにかくわかりやすい。
一流紙と呼ばれる他の新聞と比べると、ポリティカル・コレクトネスの度合いも若干緩いようで、言いたいことを遠慮なく言えるというメリットも持っている。
他の新聞なら叩かれることでも、「だって、ビルトだもの」で大目に見てもらえるらしい。
とはいえ、取材力が劣っているわけではなく、少なくとも政治記者はかなり優秀で、政界にしっかりアンテナを張っていると思われる。
たとえば、2017年に亡くなったヘルムート・コール元首相は、晩年、様々なスキャンダルに見舞われ、メディアをほとんど受け付けなくなったが、そんななかで、早い時期からコール氏に密着し、彼に寄り添い、最後の最後までこの偉大な政治家について詳細に報道したのがビルト紙だった。
コール氏の晩年の微笑ましい写真は、ほとんどがビルト紙の記者の手によるものだ。
ユリアン・ライヒェルト氏は、2017年からビルト紙のオンラインの編集長、翌18年3月からは紙のほうの編集長も兼ねている。
1980年生まれの39歳だが、過去にアフガニスタン、ジョージア、イラク、スーダン、レバノン、タイなどで戦地や紛争地での取材に携わっていたというから、おそらく冒険好きのジャーナリストなのだろう。
ひょっとすると、ベルリン本社の編集長室で退屈しているうちに、湧き出ずる蛮勇が一途に習近平に向かってしまったとか?
この稿続く。