武漢ウイルスと呼ぶ理由――櫻井よしこ氏が問う、中国共産党の情報隠蔽と5G覇権

櫻井よしこ氏の著作『親中派の嘘』を通じて、武漢ウイルスの呼称、中国共産党の情報隠蔽、武漢に集中する半導体・軍事関連産業、中国製造2025、5G覇権をめぐる米中対立を検証する章。歴史問題で捏造を経験した日本人として、情報戦の本質を見抜く必要を訴える。

2020-05-29
歴史問題で「南京大虐殺」や「慰安婦強制連行、性奴隷」という嘘を捏造された日本人としては、放っておく気になれません。
そこで私はこのウイルスを武漢ウイルスと呼ぶことにしました。
以下は、『親中派の嘘』と題して5月12日に出版された櫻井よしこさんの著作からである。
彼女は最澄が定義した「国宝」であり、日本の至宝の一人である。
朝日新聞等やNHK等のテレビ局の社員達は、もし貴方達が「国賊」ではなく、「国宝」としての日本人でありたいのなら、刮目して読まなければならない。
実は日本人ではなく、朝鮮半島や中国の反日プロパガンダ通りに生きている人間達は、この限りではないが。
見出し以外の文中強調は私。
武漢帰国者の半数は半導体技術者。
櫻井
中国湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルスが、私たちに示した問題について論じたいと思います。
先に進む前に、このウイルスの呼称について少しこだわってみます。
中国に様々な意味で配慮するあまり、世界保健機関、WHOから世界に情報を出すことが遅れました。
明らかに中国政府の圧力が効いていたと思います。
その結果、世界各国にコロナウイルスが拡散されていきつつあるのが現状です。
そうした中、ウイルスの正式名称がCOVID-19と定められました。
ほぼ同時に中国側が、COVID-19は実は米軍が中国に持ち込んだ可能性があると主張し始めました。
あまりの白々しい嘘に日本人は苦笑するばかりですが、仮に中国側が右の嘘をずっと言い続ければ、COVID-19発生の歴史は中国の思惑どおりに書き換えられてしまう可能性があります。
歴史問題で「南京大虐殺」や「慰安婦強制連行、性奴隷」という嘘を捏造された日本人としては、放っておく気になれません。
そこで私はこのウイルスを武漢ウイルスと呼ぶことにしました。
前置きが長くなりましたが、武漢ウイルス問題を通して、中国の国柄、体質が見えてきました。
細川さんは独自の視点でこの問題を見ていらっしゃいます。
細川昌彦、以降、細川。
2020年1月23日に中国は武漢市を閉鎖しました。
そのため、日本政府はチャーター機で中国の武漢から数百人の日本人を連れ帰りましたが、その内訳から見えてくるものがありました。
武漢は自動車産業の集積地で、日本の自動車メーカーが進出しているので、武漢帰国者の半分くらいは自動車メーカーの方々でした。
が、残りの方々を子細に見ると、実は半導体メーカーの方々が多数いらっしゃったのです。
これは日本の中国との向き合い方を考えさせられる出来事ではないかと、こういう視点で見ています。
櫻井
武漢は自動車産業の集積地という報道は多くありましたが、半導体メーカーが多数進出していることは、あまり報じられていませんね。
矢板明夫、以降、矢板。
問題はそれだけでもないのです。
武漢は地図で見ると中国の真ん中にあり、周りに山がたくさんあります。
その地形から、戦略的に中国の最も重要な拠点として、毛沢東時代から最も重要な産業を武漢周辺に置いてきたのです。
半導体もそうですが、軍需産業も非常に多い。
武漢ウイルスで話題になっているP4実験室、中国科学院武漢ウイルス研究所は、生物兵器を研究している研究所だとされていますが、そういう重要なものを全部、この奥地に置いているのです。
というのは、いざ戦争になり、例えばロシアという敵が攻めて来た時に、一番空爆が届かないところだからです。
毛沢東も鄧小平も、武漢に軍の指揮所を置いていました。
そういう意味で、武漢は中国にとって最も軍事的にも重要ですし、軍事関連産業もたくさん集まっている場所です。
櫻井
軍事的にも重要な武漢に、半導体業界の日本人技術者がたくさんいた。
これをどう捉えればいいですか。
細川
まず、中国がいま何をしようとしているかを知ることが一番大事です。
「中国製造2025」という、2015年に習近平中国国家主席が発表した産業政策があります。
櫻井
米国が危機感を強める一つの大きなきっかけとなった中国の長期国家戦略が「中国製造2025」ですね。
その中で掲げられている重点分野は次の10項目です。
1 次世代情報技術、半導体、次世代通信規格5G。
2 高度なデジタル制御の工作機械・ロボット。
3 航空・宇宙設備、大型航空機、有人宇宙飛行。
4 海洋エンジニアリング、ハイテク船舶。
5 先端的鉄道設備。
6 省エネ・新エネ自動車。
7 電力設備、大型水力発電、原子力発電。
8 農業用機材、大型トラクター。
9 新素材、超電導素材、ナノ素材。
10 バイオ医薬・高性能医療機械。
半導体の自給率を高める中国。
細川
中国はこれから戦略的に自給率を高めていく、自分たちが世界の製造の先頭を走るという目標を立てて「中国製造2025」を策定し、その中で櫻井さんが示したような重点分野としての10大産業を並べました。
まっ先に掲げられているのが半導体です。
「中国製造2025」の柱の一つが半導体なのです。
そしてその中核拠点が、実は武漢なのです。
中国はいま、各地に半導体工場をものすごい勢いで作ろうとしています。
いまアメリカは、中国が次世代の通信規格5Gを支配しようとしているとして、ファーウェイをはじめ、中国の動きを非常に問題にしていますね。
その5Gを、部品として半導体が支えているわけです。
しかも軍事産業の基盤を成すのも半導体です。
中国は現在、半導体の世界最大の消費国です。
ですが、実は自給できていません。
海外から輸入しています。
彼らは半導体の世界最大の輸入国なので、これでは構造的に弱い。
だからアメリカに半導体をストップされると自分たちは干上がってしまうと危機感を持っていて、半導体の自給率を高めていこうとしているのです。
櫻井
「中国製造2025」の第一の目標に半導体の自給率向上を置いた。
それだけ中国側の危機意識は強いということですね。
細川
そうです。
中国は2025年に半導体の自給率を70%にしようとしています。
いま、だいたい15%くらいですから、ものすごい勢いで各地に工場を作っているわけです。
この中国の半導体産業育成計画では、「第1期基金」というものが2014年からスタートしていて、これまでに2兆円のお金をつぎ込んでいます。
それによって半導体チップを作る工場をあちこちに作っている。
海外の技術をどんどん導入している。
中には不公正な手段もあると思います。
櫻井
中にはというよりも、かなりあるのでしょう。
細川
かなりあると思います。
それはアメリカも問題にしているわけです。
あるいはいま、台湾から技術者を3000人規模で引き抜いたりしていますし、サムスンの中国工場からは技術をコピーしたりしている。
台湾、韓国の「人と技術」を、どんどん不公正な手段も含めて入手し、2兆円をつぎ込んで半導体産業を育成しているのが、中国の今なのです。
2019年10月には、この半導体育成基金の「第2期基金」を発表しましたが、これは3.2兆円です。
この「第2期基金」で何をしようとしているのか。
半導体を作るための製造装置を中国で作れるようにしようという計画です。
なぜなら、中国はいまは半導体製造装置を日本やヨーロッパ、アメリカなど海外のメーカーに依存しているからです。
いくら半導体工場を作っても、製造装置を海外に依存していたら弱い。
だから半導体の工場を作るだけでなく、さらに源流に遡って、3.2兆円をかけて、半導体製造装置を自国で作れるようにしようという計画です。
ほぼ100%政府の資金で半導体の工場建設をしているのが、いま中国で起こっていることなのです。
櫻井
つまり、アメリカは目先の米中貿易戦争をしているのではない。
次世代の通信規格5Gを問題視して、最先端の技術面で中国に席巻されるような世界になってはならないと考えている。
ファーウェイに対する非常に強い措置も、そのような事態に陥らないようにするためということですね。
細川
そうです。
2018年に中国通信大手のZTEという会社を、アメリカが不公正だと制裁しましたね。
その制裁の手段は、アメリカのインテルやクアルコムの半導体をZTEに売るなというものでした。
それでZTEはお手上げになって、事業を継続できなかったのです。
これに懲りて、中国は半導体を自給しようとしている。
櫻井
ZTEは事実上、もう通信機器を作れなくなりました。
米国の対中制裁策の効果は凄まじい。
中国が愕然としたのも当然でしょう。
細川さんが指摘なさったように、中国の半導体自給率は15%くらいしかない。
しかも半導体の製造装置そのものがない。
厳しい現実を突きつけられた彼らは、遮二無二、自前生産に乗り出した。
中国共産党は好きではありませんが、彼らのガッツはやはり凄いと思います。
ただしその手法は、どう見ても容認できるものではありませんね。
「制網権」戦争が始まっている。
矢板
中国がなぜこの5Gを、すべて自前でやろうとしているか。
それはアメリカとの覇権争いをしようとしているからです。
習近平政権のスローガンは、「中華民族の偉大なる復興」であり、アメリカを倒して世界一位になることですからね。
様々な分野で中国はアメリカと競争しています。
例えば「制空権」「制海権」というものがありますね。
戦争の時には空や海での軍事的支配権が非常に重要で、それによって戦闘の優位が決まります。
いま、飛行機や船の世界では、アメリカが圧倒的に中国をリードしていて、簡単に追いつかない状況です。
中国は宇宙開発も一生懸命行っていますが、トランプ米大統領は宇宙軍を作りました。
宇宙でもアメリカにはなかなか勝てない。
そこで中国が唯一勝てるのが、実はインターネットの世界です。
最近は、中国が「制網権」、つまりインターネットを押さえるとしています。
これからの戦争は、「制空権」「制海権」「制宇宙権」よりも、「制網権」が重要だからです。
戦争が始まる前に相手の軍のネットワークを全部壊してしまえば、戦争に勝ったようなものと言えます。
その「制網権」を取るために中国は、中国仕様の5Gを世界中の国に売りつけてインフラ整備をし、主導権を取ろうとしています。
これは他の軍事産業よりかなり安上がりで、しかも効果が上がる。
そういう意味で近年、中国が5Gにものすごく力を入れています。
櫻井
「制網権」を制したものが世界を制する。
5Gの意味することは、通信手段という分野にはとどまらない。
人体に例えると、脳神経と体中の神経細胞を全部つなげたようなものが5Gに当たるわけで、これがなければ人間が動けないように、社会も国家も機能しない。
それほど重要な機能を5Gが果たすという捉え方でよいですか。
細川
そうですね。
ご指摘の通り、単純な通信だけではなく、交通、電力など社会インフラを全部これでコントロールしていく。
究極は、いま矢板さんが指摘されたように軍事技術に直結する。
これはいままでの通信以上に戦略的に意味があるということです。
櫻井
私たちは、いま中国が「制網権」を握り、覇権を握ることを非常に恐れています。
今回の武漢ウイルスのコントロールの仕方、情報の出し方、隠し方に表れている中国共産党の体質に脅威を感じているのです。
情報隠蔽、人権無視などのとんでもないことを、中国は平気でします。
私たちが許容できないこんなことをする国柄の中国が、私たちの生活全般を動かすネットを支配するようになるのが恐ろしいということです。

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