中之島薔薇園 2021年5月23日――名残の薔薇園と、傷ついた揚羽蝶
2021年5月23日の中之島薔薇園です。
この日は、薔薇の最盛期はすでに過ぎていました。
満開の薔薇園を撮影した作品ではありません。
むしろ、春の薔薇園が終わりへ向かう、その最後の時間を記録した写真集です。
写真は410枚。
この日の主役は、薔薇だけではありませんでした。
むしろ、紋白蝶と揚羽蝶でした。
名残の薔薇のあいだを、蝶たちが何度も飛来していました。
その中で、一頭の紋白蝶と一頭の揚羽蝶が、薔薇園の中心ではない青い植物に飛来しました。
風が吹いている時でした。
私は、その瞬間を連写で記録しました。
揚羽蝶は、左の羽の下部が食いちぎられていました。
その姿は、まるで薔薇園の終焉そのものを象徴しているようでした。
盛りを過ぎた薔薇。
風の中で揺れる青い植物。
そこに飛来した紋白蝶と、傷ついた揚羽蝶。
これは、華やかな薔薇園の記録ではありません。
薔薇園の終章を見つめた写真集です。
音楽は、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。
ヴァイオリンはイツァーク・パールマン。
指揮は秋山和慶。
演奏は東京都交響楽団。
最後に、五嶋みどりの《ベルスーズ》を置きました。
ブルッフの大きな歌のあとに続く《ベルスーズ》は、余白ではありません。
それは、薔薇園を舞った蝶たちへの子守歌です。
そして、傷ついた揚羽蝶への静かな祈りでもあります。
2021年5月23日の中之島薔薇園。
これは、薔薇園の最後の写真集です。