韓国「反日主義」の起源――「親日派がいたのではなく、日本人だったのだ」という歴史の核心
2019年10月13日発信。
月刊誌WiLLの書評欄に掲載された永江潔氏による松本厚治著『韓国「反日主義」の起源』の書評を紹介する。
山崎正和、司馬遼太郎、岡崎久彦らの韓国観を批判的に検証し、日韓併合期の実態、創氏改名、韓国の反日教育、大韓民国臨時政府、金九、成錫憲らの発言を通じて、韓国「反日主義」の形成を論じる。
2019-10-13
‘韓国のガンジー’成錫憲氏らの発言も多数採録するが、「親日派がいたのではなく、日本人だったのだ」が基調。
以下は月刊誌WiLLの書評欄、永江潔の「今月この一冊」に、『韓国「反日主義」の起源』松本厚治著、と題して掲載されている書評からである。
半世紀に及ぶ文化への貢献で昨年文化勲章を受章した山崎正和氏は、先の戦争で日本はヒトラーもナチスも生まなかった代わり、全国民が戦争に協力したとし、であれば国民あげて被害国に謝り続けるしかない、特に「国家を併合し、国語を奪い、姓名の変更すら強要した」韓国には、と説く(『潮』2013年11月号)。
やはり文化勲章受章の司馬遼太郎氏。
週刊朝日での大河紀行「街道をゆく」海外篇で真っ先に選んだのが韓国だが、韓国人女性に所望を訊かれ、「言葉が通じた大昔の気分を味わえる農村に」と答えながら、本当は「先祖の国にゆく」と言いたかったと綴った。
氏の敬愛する金達寿氏同様、日韓を騎馬同族の末とみるのだ。
安倍総理が師表と仰いだ岡崎久彦元駐タイ大使。
ソウルでの勤務後、『隣の国で考えたこと』を著すが、併合前後の韓国人の抵抗を「植民地化された諸民族の中で最も激しいものの一つだった」と賞し、創氏改名を「民族を抹殺する」「アメリカの奴隷」並みの「愚挙」と恥じた。
こうした説を本書は全て否定する。
立証に約1000の文献を充て、うち240は未訳の韓国語(朝鮮語)・中国語・英語文献。
本文に収まらない証文は870余の【注】にし、小活字で計112ページ。
もうお読みいただくしかない大作だが、乱暴に要約すれば、〈併合は、穏当な日本統治と朝鮮住民の協力で理想的に浸透したが、まさにそれゆえ住民は敗戦で心の置き所を喪った。為政者としては韓国再生へ国民の心棒を鋳直さざるを得ず、偽りの歴史教育で「反日主義」を纏わせる〉と意訳できようか。
何せ国家首脳陣の私的宴席での会話は日本語だったというのである。
韓国の教科書は併合期の日本を「世界史で類例を見出せないほど悪辣」と記す。
で今は「民族あげて闘い続けた」が国民の共通認識だ。
反証は上海から戻った大韓民国臨時政府大統領金九の帰国会見の模様。
対日協力者の処置を訊かれ、彼は「朝鮮の者は1人残らず対日協力者だ。
みんな牢屋に入るべきなんだ」と答える。
対独協力者をフランスは1万人、イタリアは1万5千人処刑した。
韓国では1人の処刑者も出なかった。
それどころか、三権の長をはじめ、各界のリーダーは併合期に活躍した人々だったと、本書は人事録を引く。
‘韓国のガンジー’成錫憲氏らの発言も多数採録するが、「親日派がいたのではなく、日本人だったのだ」が基調。
大韓民国臨時政府を韓国憲法は前文で〈法統を継ぐ〉と謳うが、同胞にはついぞ信頼されなかった。
本書は、創氏改名の意味、導入の経緯、反響も詳述する。
朝鮮には男系の血統を示す〈姓〉はあっても家の称号である〈氏〉がなく、〈氏〉を新設して戸籍をつくるのだが、親日派の行跡調査に生涯を投じた林鍾国氏は「人々は先を争い創氏した」と記す。
元々の〈姓〉に加え、内地人式の〈氏〉が持てるのは「悪い話でなかった」。
〈姓〉を〈氏〉に使って構わなかったから、数百万人がそうした。
親にもらった「大羽」「景烈」などの〈名〉は変えなかった人のほうが多い。
著者はソウルの日本大使館に80年代半ば勤務した元通産省(経産省)キャリア。
以来おそらく十数万時間かけ、資料を内外に博捜して精読、まとめた書なのだろう。
私も仕事柄、韓国・朝鮮本は随分読んだが、刺激された。
反論異論がこれほど待たれる本も初めて。
感謝。