「外交は水際まで」――習近平国賓招聘をめぐる安倍外交の難しい舵取り
習近平を国賓として招くことに、保守陣営の多くは強い疑問を抱いていた。しかし元外交官の谷内正太郎氏によれば、中国側からは数年前から強い要請があった。天安門事件後の失敗を踏まえつつ、日本は中国の正体を理解した上で、国益を守る外交を行わなければならない。
2020-03-08
2・3年前から「天皇陛下が御即位した際には、いちばんに国賓として挨拶に伺いたい。そのときはぜひ国賓待遇で」と先方からの非常に強い要請があったという
以下は前章の続きである。
「外交は水際まで」
日本は中国にどう対応するべきか。
たとえば、いまこのタイミングで習氏を国賓として招き、天皇陛下に謁見させてよいのか。
私自身は、なぜ習氏を国賓招聘しなければならないのか、まったく理解できなかった。
保守陣営はおよそ誰も支持していない。
安倍総理と菅官房長官にも、お会いしたときに直接そのことは申し上げた。
しかし、「外交は水際まで」だ。
これは与党と野党にも、また政府と在野の言論人にも当てはまる。
つまり、言論人の責任は冷静かつ徹底的に考えて問題提起をすること。
曖昧な形ではなく、明確に総理に伝えたなら、そこで批判は控える。
なぜなら私たちよりも政府のほうが圧倒的に情報を持っているからだ。
そうしたなか、1月26日に元外交官の谷内正太郎氏がBSフジの「プライムニュース」に出演して、習近平国賓待遇について言及していた。
谷内氏によると、2・3年前から「天皇陛下が御即位した際には、いちばんに国賓として挨拶に伺いたい。そのときはぜひ国賓待遇で」と先方からの非常に強い要請があったという。
しかし、中国や習氏にそんな栄誉を与えるわけにはいかない。
まずは同盟国である米国のトランプ氏を招くことになった。
中国側を同じ年に招くわけにはいかないため、2020年の国賓招聘が決まったというのである。
中国は隣国で、大国でもある。
日本の国益を考えると、きちんとした形で交流し向き合うことが欠かせない。
谷内氏が語ったように、安倍総理は難しい舵取りをしていると思う。
天安門事件後、孤立していた中国を天皇皇后両陛下にご訪問していただいた。
それが中国にプラスに作用し、国際社会の対中制裁網を解くきっかけになった。
しかし、中国は領海法を定め、中国国内法で尖閣諸島を中国領土だと決めてしまった。
日本の友好的な外交は何の役にも立たなかった。
今回も同じことになるのでは、と危惧する向きが多い。
しかし、当時は宮澤政権だった。
日中外交、日米外交の基本的戦略はあったのだろうか。
現在の日本は、当時よりは中国の正体を理解しているはずだ。
たとえば2020年、トランプ氏が大統領に当選し、安倍総理が最初にトランプタワーを訪れたとき、総理はそのほとんどの時間を費やして中国の脅威についてレクチャーしたと言われている。
そこまで中国の脅威について実感しているのであれば、「外交は水際まで」の言葉どおり、あとは信頼するしかない、というのが私のいまのスタンスだ。
この稿続く。