武漢肺炎との戦いに必要なのは批判ではなく前向きな力――櫻井よしこ氏が問う田中均氏と立憲民主党の姿勢

櫻井よしこ氏の連載コラムをもとに、武漢肺炎への日本政府の対応、全校休校措置、国民の協力の必要性を論じる。
田中均氏による政権批判、日朝交渉記録欠落問題、立憲民主党による「桜を見る会」追及に焦点を当て、国家的危機に必要なのは不平不満ではなく前向きな提言と協力であると訴える。

2020-03-13
その2回分の記録の中に、日朝国交正常化に当たって、1兆円規模の経済協力資金を提供するとの重要な合意が記載されていたのではないか。
以下は昨日発売された週刊新潮の掉尾を高山正之と共に飾っている、櫻井よしこさんの連載コラムからである。
櫻井よしこさんは、最澄が定義した「国宝」である。
武漢肺炎、制圧に向けさらに力を尽くそう。
小中高全校休校などの緊急措置は、いつ解除できるのか。
武漢ウイルスとの国を挙げての戦いについて、3月9日、政府の専門家会議は、あと10日間、19日頃まで「大規模イベントの自粛など感染防止措置は続けてほしい」と呼びかけた。
加藤勝信厚労大臣も、専門家会議の意見を踏まえて、15日を目途に次の段階を示す方針を発表する予定だ。
現在までの所、日本と日本国民は頑張っている。
初動段階で対策が遅れたことは否めない。
しかし、クルーズ船を除けば、3月10日時点で日本の死者は9名、感染者は530名だ。
他方、イタリア、フランスの死者は各々463名と30名、感染者は4桁台である。
米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は日本の対応が悪いと批判した。
だが、米国での死者22名も、感染者754名も、日本のそれを超えている。
数字で見る日本の対応は、一応評価に値するのではないか。
但し、問題はこれからだ。
私たちは武漢ウイルスの蔓延を防げるのか。
その瀬戸際に立たされている状況に変化はない。
これからもう少しの期間が、本当に頑張り時だ。
国民全員が協力し合い、とりわけ、感染した場合の危険が大きいお年寄りや基礎疾患のある人たちを守りきることが最重要課題だ。
まさに私たちの力が試されている。
そこで強調したい。
こういう時こそ、全てのエネルギーと時間を前向きに活用しよう、と。
不平不満や文句を、前向きの提言に変えていこう。
不平不満は、往々にして不毛の結果しか生まない。
文句ばかり言う人は人の心を打たず、従って他者に前向きの動きを促すこともできない。
その一例が、元外務審議官の田中均氏ではあるまいか。
厳しい政権批判。
氏は3月9日、BSフジの「プライムニュース」で、政府の全校休校措置を批判した。
大事なのは子供よりも高齢者への措置だというのだ。
前述のように、高齢者のリスクは高い。
従って、氏の指摘は正しい。
しかし、周りを見ると、お年寄りを預かる各種施設や病院は、すでに対策をとっている。
2月の早い段階で外来の見舞いを断り、家族でさえも会えなくなっているケースが圧倒的だ。
田中氏は、安倍晋三首相の一連の措置は不適切で、説明責任を果たしていないと再三批判した。
だが、私は釈然としない想いでそれを聞いた。
氏は安倍首相に、お年寄りのための施策を打ち出すよう、前向きに提言すればよいだけだろう。
すでに多くの手が打たれてはいるが、不足の分は補われていくに違いない。
氏の不平だらけの姿勢からは、物事を前に進める力は生まれてこないのではないかと思う。
そして私はつい、昔のことを思い出す。
小泉純一郎政権当時、氏は外務省アジア大洋州局長として、北朝鮮の代理人である「ミスターX」らと非公式に30回近く交渉した。
2006年頃、安倍氏は日朝交渉の全記録を読もうとした。
だが、2回分が欠落していた。
欠落部分について質された田中氏は、「私は知らない」と答えた。
だが、その2回分の記録の中に、日朝国交正常化に当たって、1兆円規模の経済協力資金を提供するとの重要な合意が記載されていたのではないかという疑念が持たれている。
「知らない」で済まされるような事案ではない。
だが、氏は未だに説明責任を果たしていない。
このような人物だから、安倍首相が不信感を抱き、氏を重用しなかったのは当然であろう。
田中氏がいま、武漢ウイルスの件でとりわけ厳しい政権批判を展開しているのには、こうした背景も、或いは影響しているのかと考えてしまう。
少なくとも、氏の非難一方の論調からは、武漢ウイルス禍に力を合わせて戦おうという、今の日本に必要な前向きの力は感じられない。
立憲民主党の枝野幸男氏も、蓮舫氏も同様だ。
両氏は居丈高に首相の措置を非難する。
だが、インターネット上の「Dappiさん」の国会分析を見ると、彼らこそ反省が必要だと思えてくる。
Dappiさんは、各党がどんな質問にどれくらいの時間を費やしているかを円グラフにした。
それによると、1月27日から30日までの間、立憲民主党は衆参両院で、国会質問時間の58%、約6割を「桜を見る会」の質問に当てている。
これは共産党と共に突出している。
さらに2月17日の衆議院予算委員会では、3時間1分の質問時間の全てを「桜」に費やした。
2月17日は、政府のチャーター機第5便が到着して、てんやわんやの日だった。
しかし、立憲民主党はそんなことは全く気にしないのか。
ひたすら「桜を見る会」を追及した。
国民の命を脅かす武漢ウイルスへの危機感はあったのか。
疑問である。
この稿続く。

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