国家なき憲法と戦後日本の弱さ

武漢ウイルス危機は、日本の緊急事態対応の弱さ、政府に権限を与えない戦後憲法の限界、そしてそのような政治家を選んできた国民の責任を明らかにした。櫻井よしこ氏の論考を通して、憲法改正と自立国家への再生を問う。

2020-05-04
しかし、責任は究極的には、そのような法律しか作れない政治家を選んだ国民の側にある。
戦後日本の体質そのものが問われていることを、我々は自覚しなければならない。
以下は、日本国民必読の論文が満載された月刊誌WiLL今月号の巻頭を飾り、「わが国家の弱きを憂う」と題して掲載された、櫻井よしこさんの論文からである。
櫻井よしこさんは、最澄が定義した「国宝」の代表選手の一人である。
日本に対する至上の貢献でもある彼女の論説に、誰もが感謝するはずである。
同時に、正に真の国士でありジャーナリストである櫻井さんに比して、朝日などやNHK等のテレビメディアで論説委員やキャスター等と称している人間達の程度の酷さは、国に対する犯罪者と言っても全く過言ではないことを、心底からの怒りを持って思うはずである。

“優しさ”だけでなく“強さ”を持たねばならない。
憲法改正を起点として、自立できる国家に生まれ変わろう。

「小池劇場」に惑わされるな。
東京都知事選を控え、自らの存在感をアピールしたい小池百合子氏の意図も透けて見える。
三月下旬、小池氏は唐突に「都市封鎖」を口にした。
武漢市で実施された道路封鎖をイメージするのも無理はない。
案の定、スーパーで日用品や食料の買い占めが起こった。
だが、日本の現行法で都市封鎖などできるはずがない。
政府が明確に否定して混乱は収まったが、いたずらに人々の不安を煽る小池氏の手法には強い疑問を抱く。
休業要請をめぐっても、外出自粛の効果を見極めたい政府と、幅広い事業者に休業を求めたい東京都で意見が割れた。
最終的に両者は折り合ったが、足並みの乱れは野党やメディアの批判の的になった。
確かに疫学的観点からすれば、国民全員が一歩も外に出ず引きこもるのが、感染拡大を止める最も効果的な方法である。
だが政治家は、国民の暮らし、すなわち経済も守らなければならない。
経済が破綻すれば給料は減り、職を失って路頭に迷い、国民は塗炭の苦しみを味わうことになる。
自殺者も増えるだろう。
感染拡大を防ぐために人々の行動を制限すれば、経済を犠牲にしなければならないのは明らかだ。
厳しい現実を踏まえたうえで、安倍首相は苦渋の決断を迫られた。
その結果、まず感染拡大防止を優先し、その後の日本経済が成長軌道に戻るための思い切った措置を講じることにしている。
緊急事態宣言にあたっては、金融や物流、小売りなど、休業すれば生活に大きな影響を及ぼす業界に対し、政府による周到な根回しがあった。
感染拡大防止を基本としながらも、続けていける最小限の経済活動も続けて、小さな事業者を守っていくのが、政治家の発想であろう。

示された憲法改正の覚悟。
新型コロナウイルス特措法は、民主党政権下で制定された新型インフルエンザ特措法が基本になっている。
野党時代、その内容を正すことができなかった自民党も反省すべきだ。
しかし、責任は究極的には、そのような法律しか作れない政治家を選んだ国民の側にある。
戦後日本の体質そのものが問われていることを、我々は自覚しなければならない。
四月七日、安倍首相は衆院議院運営委員会に出席し、「緊急時に国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきかを憲法にどう位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と語った。
そして、憲法に緊急事態条項を盛り込む構想に前向きな姿勢を示した。
また、「新型コロナへの対応も踏まえつつ、憲法審査会で与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを期待したい」とも語った。
個人の自由と権利が強調される一方で、政府の権限がなきに等しいのは、敗戦後に書き換えられた「国家なき憲法」に由来する。
戦後憲法は、国家は否定すべきもので、国民が監視し縛っておかなければ、権力の恣意的濫用に走るという思想で貫かれている。
だから憲法は、我が国に「戦力の保持」も「交戦権」も認めていない。
今回の緊急事態宣言にあたっても、リベラルメディアは「安倍首相の強権」を非難し、緊急事態宣言や私権制限を牽制した。
安倍首相自身、憲法改正によって国家の根本に手を加えない限り、危機に対処できないことを改めて痛感したはずだ。
議院運営委員会は、法案の審議を各委員会に振り分ける、いわば国会の司令塔といえる最も重要な委員会だ。
首相自ら出席するのは異例のことで、安倍首相の並々ならぬ思いが感じられる。
ところが、野党の反応は冷ややかだった。
蓮舫氏はツイッターで「黙れ、と言いたくなった」と呟き、共産党の小池晃書記局長は「究極の火事場泥棒だ」と反発した。
このような無責任で失礼極まりない罵詈雑言を口にして、日本の直面する真の課題から目を逸らし続ける政治家など、退場してほしいと、私は思う。

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