米民主党を襲う「ミーツー」ブーメラン――バイデン文書公開拒否が示す民主党の二重基準
渡辺惣樹氏の論文をもとに、バイデン前副大統領をめぐる疑惑、デラウェア大学図書館に保管された「バイデン・ペーパー」の非公開問題、カバノー判事糾弾時の民主党の姿勢との矛盾を論じる。あわせて、米主要メディアに追随する日本メディア、特にNHK報道の浅薄さを批判する。
2020-05-25
私を含めて、この事を初めて知った国民は多いはずだ。
当時の米国、特に民主党が如何に中国に誑かされ、中国に傾斜していたかを証明している。
以下は、今日の産経新聞に、米民主襲う「ミーツー」ブーメラン、と題して掲載された日米近現代史研究家、渡辺惣樹の論文からである。
見出し以外の文中強調と*以下の注は私。
米国の政治家は、引退時に自身の政治活動の記録を示す文書を図書館に寄贈することが多い。
図書館はそれを目録化し保管する。
それが後日の歴史研究の貴重な資料となる。
例えば「ジョセフ・マッカーシー・ペーパー」は、マルケット(Marquette)大学(ウィスコンシン州)図書館が保管する。
マッカーシーは、米連邦政府に巣くったソビエトスパイ網の排除(レッドパージ)を訴えた反共の元上院議員である。
「ウォルター・モンデール・ペーパー」は、ジミー・カーター図書館(ジョージア州アトランタ)が保管する。
モンデールは駐日大使時代、尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲外と述べた元副大統領(カーター政権)である。
*私を含めて、この事を初めて知った国民は多いはずだ。当時の米国、特に民主党が如何に中国に誑かされ、中国に傾斜していたかを証明している*
バイデン氏の「社会的距離」
民主党の大統領選候補者と見込まれるバイデン前副大統領も、上院議員時代の文書をデラウェア大学図書館に寄贈した(2011年)。
ただし公開は政界引退後との条件を付けた。
彼は1973年から2009年までの長期に渡り上院議員を務めただけに、その量は膨大で、1875箱にも及ぶ。
コロナ禍に襲われて以降、北米ではソーシャルディスタンスが強調されている。
行政は飛沫感染を防ごうと、対人距離は6フィート(180㎝)を保つよう指導する。
しばらく前までは、ソーシャルディスタンスには明確な距離の定義はなかった。
欧米では、対面時には握手、ハグ、頬へのキスといった肉体的接触があるが、それが終われば「適当な」距離を保つ。
バイデン氏のソーシャルディスタンスはその常識に違い、異常に短いことはよく知られていた。
いうまでもなく女性との距離感である。
今次の、民主党大統領候補戦中も、彼による民主党所属の政治家や関係者(いずれも女性)への異常な接近が頻繁に見られた。
不快感が公にされて
2019年4月には、すでに7人の女性が、その行為への不快感を公にしている(Slate誌)。
ホワイトハウス研修生だったある女性は次のようにワシントン・ポスト紙に語っていた。
「2013年のことでした。ホワイトハウス・ウエストウイングの地下の出口から退出しようとするバイデン氏に道を譲りました。(私を見た彼は)自己紹介してくれ、握手を求めてきました。彼はその手を私の後頭部に回し、額を私の額にすり寄せてきたのです」
「悪意があるとは思いませんでしたが、適切な行為だとは思えませんでした。…女性の多くは、不快に感じるでしょうし、職場での女性蔑視だとも思えるでしょう」
彼女の描写そっくりの行為を見せるバイデン氏の姿を示す映像は、いたるところに残る。
バイデン支持者は、彼の振る舞いを、「彼独特の愛情表現だ」と弁護するが、フェミニスト団体は不快感を見せる。
トランプ大統領が「クリーピー・ジョー(キモいジョーおじさん)」と揶揄するのは、こうした事実があるからだ。
ここまでなら、「今後注意する」とバイデン氏が公約すれば何事もなかったかもしれない。
しかし彼が上院議員時代の1993年に同事務所で働いていた女性が、暴行されていたと訴えた(本年3月)。
その内容はとても文章にできない。
当初はだんまりを決め込んでいた民主党支持一色の主要メディアも、世論の圧力に負け、渋々報道を始めた。
*NHKの報道部を支配している連中が顕著な反トランプ報道を行う理由の一つだろう。つまり、彼らはろくな取材もせずに、主要メディアの論調に倣っているだけなのである。トランプ当選が全く予想できなかったのは当然なのだ。NHKを始めとしたテレビメディアに登場する東大教授等も全く同様なのである。彼らの内の誰一人として、著者や古森義久の様に米国の実相を取材している者はいない*
反トランプ報道の急先鋒であるニュース専門MSNBCは、コロナ禍対応で自宅にこもるバイデン氏に遠隔インタビューした(5月1日)。
この件を直截に問われた彼は「そのような事実はない」と完全否定した。
ブーメランどうかわすか
民主党は一昨年、最高裁判所判事候補であったカバノー判事を似た事件で激しく糾弾した。
中絶に保守的な立場をとる彼が嫌いだったのである。
彼に高校時代(1980年代初め)に暴行されたとして名乗り出た女性の言葉を全面的に信用し、判事に「無実の証明」を求めた。
判事は、当時の日記を頼りに反論した。
一方の彼女の議会証言は曖昧で、その主張を裏付ける証人も皆無だったことから、指名は承認された。
民主党には、カバノー判事を糾弾した言葉がいまブーメランになって返ってきている。
「ミーツー運動」で証言する女性の言葉はとにかく信用すべきで、訴えられた男性が無実を証明しなくてはならない、とする立場を民主党はとった。
フェミニズムに押されて、男性側に挙証責任を押し付けた。
彼らは、法の摂理をまげた以上、バイデン氏にも無実の証明を求めなくてはならない。
冒頭に書いたように「バイデン・ペーパー」は、デラウェア大学図書館にある。
先の女性は「事件」の後に彼の事務所を去った。
1875箱のどこかにその経緯を記す文書が残る可能性があるが、バイデン氏は公開を拒否する。
当然ながら女性層の反発は高まっている。
民主党のコアな支持層であるフェミニスト団体の意向は、夏の民主党大会に重大な影響を与える。
バイデン氏と民主党がこのブーメランをどうかわすのか。
(わたなべ そうき)