トランプタワーで歴史は動いた――西尾幹二氏が論じる、安倍外交と国家の命運

月刊誌「正論」に掲載された西尾幹二氏の論文を通じて、安倍晋三首相の外交を検証する章。トランプ大統領との初会談、オバマ政権下で冷遇された同盟国への配慮、中国包囲を意識した各国歴訪を通じて、日本の国益を守ろうとした安倍外交の意義を論じる。

2020-06-01
中国を好み日本に冷たいオバマと同じタイプの大統領だったらどうなるか、という息を呑む思いで見つめていた日本国民の不安は、これで一掃された。
今日発売された月刊誌「正論」に、「安倍晋三と国家の命運」と題して掲載された評論家・西尾幹二の論文は、日本国民必読の論文である。
私が彼の存在を知ったのは、6年前の8月以降の事である。
つまり朝日新聞を購読していた時は、全く彼を知らなかった。
彼が本物であることは、私が言うまでもない。
彼の論文は、当然ながら、新聞で目にすることはできない長文である。
乾坤一擲の論文であると言っても過言ではない。
知識人であると考えている人達は、最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
費用は、たったの900円である。
本稿は、超抜粋で、一節を紹介する。
前文省略。
ニューヨークのトランプタワーで、大統領に当選したばかりのあの男、明日どう出るか分らない謎の人物に、たちまち意気投合し、好感を持たれたと言う事実は、その後の安倍外交の基本を形作った。
中国を好み日本に冷たいオバマと同じタイプの大統領だったらどうなるか、という息を呑む思いで見つめていた日本国民の不安は、これで一掃された。
それは、あのタワーの一室で歴史が動いたことを物語る。
オバマ時代の米国は、トルコ、サウジアラビア、日本などの同盟国に冷たく、ドイツ、韓国、フィリピンなどの親米国家群を不必要に中国側に追いやった。
オバマが中国の帝国主義的性格に多少とも懐疑的になったのは、任期も終わりかけた最後の歳月である。
安倍外交は、忍耐づよく中国を包囲するように周遊した。
トルコ、サウジアラビア、モンゴル、インド、中東、オーストラリア、フィリピン、その他東南アジア諸国を歴訪した。
それはさながら、米国に裏切られた同盟国の不満を拾い集める旅のごとくに見えたが、米国がしばらく出来なかった外交上の欠落を、いわば穴埋めした旅でもあり、次の時代の日本の国益にも適う一連の孤独な努力だった。
米国でも分る人はいま分っていて、賞賛していると聞く。
私は、安倍さん、よく頑張っているな、と当時その体力に気遣ったものだった。
彼の8年間の政治的行動の中で、初対面の人に好かれるという個人的特質を生かした立派な業績であったと評価されてしかるべきだと思う。
後略。

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