昭和天皇責任論と東京裁判史観――『朝日新聞』とNHKが執拗に再生産してきたもの
平川祐弘氏の論文から、2006年の『朝日新聞』社説、昭和天皇を裁く「女性国際戦犯法廷」の放映企画、英国紙による昭和天皇責任論への批判を紹介する。
昭和天皇、日本国、A級戦犯だけに戦争責任を負わせる東京裁判史観は、原爆投下を命じた側の責任を含め、今後もそのまま通用するのかを問い直す。
2020-06-20
天皇裕仁を戦争の開戦責任者として糾弾するのは、英国のタブロイド紙『サン』などと、日本の『赤旗』、『朝日新聞』の一部論説委員、NHKの一部職員ということになる。
以下は前章の続きである。
前文略。
『朝日新聞』の社説(2006年)
過去の戦争について、責任はもっぱら日本側にあるとする新聞やテレビ、ラジオなどの報道、また教科書が述べてきたその種の見方は、俗に東京裁判史観と呼ばれる。
「あの戦争」の責任についても、次のような極端な論説を述べる人が、大新聞社内には今でもいる。
日本は「国内的にはA級戦犯に戦争責任を負わせることで他人を免責した。その中には昭和天皇も含まれていた」。
これが、『朝日新聞』の2006年の社説の一節である。
しかし、このような社説を掲げれば新聞が売れると考えたのならば、それは問題だろう。
同紙の売上げは、そして権威も、平成年間を通じて確実に低下した。
1989年、昭和天皇御大葬の際には、米国大統領以下が参列した。
そのことを思えば、歴史の判決は、国際的にもすでに下されたと見るべきではないのか。
天皇裕仁を戦争の開戦責任者として糾弾するのは、英国のタブロイド紙『サン』などと、日本の『赤旗』、『朝日新聞』の一部論説委員、NHKの一部職員ということになる。
彼らは、昭和天皇を裁く「女性国際戦犯法廷」の放映を企画した。
この種の、昭和天皇を悪者とする見方は少数派である。
英国の高級紙『インデペンデント』には、「日本軍による残虐行為と裕仁天皇と関係があるよう結びつける試みがなされているが、これは、言ってみれば、ジョージ6世が第2次大戦中、非人道的なドイツ爆撃を指揮したと言い立てるようなものである」(1988年11月1日)という記事が出た。
そのようにたしなめられたにもかかわらず、昭和天皇責任論は、その後も内外で執拗に再生産されている。
ところで、さまざまな歴史認識が出てきた近年であるが、いわゆる東京裁判史観なるものは、今後もこのまま通用するのだろうか。
また、昭和天皇は悪者ではなかったとして、日本国は悪者だったのだろうか。
そもそも、日本のA級戦犯は、すべて悪者だったのだろうか。
悪者だったとして、原爆投下を命じた者より、さらに悪者だったと言えるのだろうか。