刑務所内の「五毛党」プログラムからSNS世論工作へ――対談が明らかにする中国共産党型情
以下は前章に続く対談部分である。
ここで語られているのは、中国各地に存在するとされる「五毛党」と呼ばれるネット世論工作の担い手、刑務所内で実施されているとされる社会復帰プログラム、組織的な「いいね」やリツイート、孔子学院、日本国内のハッシュタグ運動、そして外国からの偽情報工作に対する日本の防御体制についてである。
対談中には、特定の政治運動や人物と中国側の情報工作との関係を疑う発言も含まれている。
ただし、それらは対談者が示した分析、疑問、可能性であり、個々の関与を確定的事実として断定するものではない。
重要なのは、SNS上に表示された巨大な数字を、そのまま自然発生的な「民意」とみなしてよいのかという根本的な問題である。
2020-07-07
【新時代の世論誘導】
高山
どこでやっているんだろう。
坂東
中国の各地方都市に存在しています。
刑務所内でも五毛党プログラムを提供している。
なかなかやるなと(笑)。
どこの国でも、出所者は社会復帰することが難しい。
ところが、五毛党の仕事をしていれば、ちゃんとお金が振り込まれてくる。
中華風社会適合更生プログラムですね。
ほかにも、地区ごとに書き込みが多い人を表彰しますし、ランクアップのための研修に参加すると、修了証をもらうこともできます。
指示伝達も徹底しており、とある書き込みには、《上級部門からの通知として、各ユニットのすべての人が微博(ミニブログ)で「いいね」とコメントを行い、ホットな検索リストに入るよう求める!》とありました。
日付は明確ではありません。
中国語のハッシュタグをクリックすると、3月28日にCCTVがニューヨークの感染状況を報じた内容に飛びます。
中身を読むと、まるでニューヨークが無法状態になっているかのようです。
このニュースが拡散されたところ、わずか1日でリツイートが6336件、コメントが7921件、「いいね」が15万6000件ついた。
高山
工作員の数は、実際にどれくらいだろうか。
坂東
現有勢力として、高校、すなわち中国語で大学や高等教育機関を意味する「高校」の学生部隊が約399万5000人、一般人が約650万3000人、合計約1049万8000人との資料があります。
学生は、アルバイト感覚でやっているのでしょう。
もう一つ、気になるのが孔子学院です。
いったい何を教えているのか、実態がまったく分かりません。
アメリカでは次々と閉鎖されていますが、日本では早稲田大学や立命館大学をはじめ、全国各地に存在しています。
この孔子学院に入学できるのは中国人以外の学生で、中国人が語学を教える。
教材の中に、中国共産党政権の正当性が盛り込まれているという指摘があります。
さらに、日本語で五毛党のような働きを期待されている可能性もある。
高山
検察庁の定年延長を盛り込んだ検察庁法改正案が浮上したとき、芸能人や著名人が「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけて、SNSで拡散した。
その現象に対して、朝日新聞は680万件のツイートがあったと報じた。
しかし、芸能人だけであれば、数はたかが知れている。
実際には「1万2000のアカウントがリツイートした」とも分析されている。
朝日新聞と共産党は近しいから、いつも紙面化している「九条の会」などに支援を頼み、拡散させているのかとも思った。
しかし、坂東さんの話を聞くと、中国大使館から何らかの指令が飛んだのか、あるいは五毛党が加わったのか、その可能性も調べる必要がある。
坂東
女優の裕木奈江さんが「そういえば今回のハッシュタグ作ったの誰?」と、5月10日にツイートしたところ、福島瑞穂氏の夫で、人権派弁護士として知られる海渡雄一氏の名前が浮上してきました。
この名前を聞いたとき、私は至極納得した。
海渡氏は、中国の対日賠償訴訟で貢献したとされる500人の弁護士リストの一人として掲載されていたからです。
今回は、親中派とみられる弁護士の要請で拡散した可能性があります。
ただ、それに芸能人が乗ってしまうのは恐ろしい。
高山
今のところ、海渡氏の名前だけか。
坂東
引き続き調べて、背後に五毛党が存在するのかどうかを把握するべきです。
高山
朝日新聞は、今までインターネットを敵視していた。
それはそうだろう。
ネットには、朝日新聞に対する批判ばかりが書き込まれているのだから(笑)。
しかし、今回はリツイート数を誇示して、「これが民意だ」と言い出した。
今後の安倍政権倒しの道具にする気満々だ。
坂東
「民意の反映だ」などと強調することには疑問があります。
ネットリサーチや書き込みを専門に請け負う会社も存在し、流行させたいハッシュタグがあれば、費用を払って業者に依頼し、機械的にリツイートを増やすことができます。
高山
仮に朝日新聞自身が業者に頼んだとすれば、金銭も発生するから、調査によって関係を把握される可能性がある。
朝日新聞と意思を共有し、直接の金銭関係を持たずに実行する別の部隊が存在するのではないか。
金を払うだけの商売であれば、長続きしない。
坂東
今回の場合も、最近作られたアカウントが多数あったようです。
批判されれば、すぐに削除する。
運動のために新規アカウントを作成し、盛り上がったら、さっと消す。
ある五毛党員の作業風景を撮影したとされるネット動画では、机の上に携帯端末が数十台並べられていました。
特定の記事に「いいね」を押すと、時間差をつけて、それぞれの端末から「いいね」が押されるように設定されている。
リツイートも同じ方法です。
高山
そうやって、組織立って工作する。
まさに、新時代の世論誘導だ。
坂東
日本に来る留学生は年間約31万人ですが、そのうち中国人留学生は約12万5000人でした。
2019年5月1日時点の数字です。
スマートフォンの時代には、基本的に一人が少なくとも一つ、あるいは複数のSNSアカウントを持っているのが当たり前です。
この留学生たちが、日本国内で何らかの活動をしている可能性についても検証が必要です。
例えば、12万5000人全員ではなく10万人だとしても、一人が複数のアカウントを持てば大きな数になる。
大きな影響力を持ち、世論誘導に利用される可能性があります。
高山
米国国務省は、敵対勢力からの偽情報工作を監視、分析し、公の場で訂正していくための専門組織「グローバル関与センター」、GECを2016年に設置している。
当時のトップは、リー・ガブリエル特使兼調整官だった。
日本も、それくらいの組織をつくらなければ駄目だ。
国内の政治勢力だけではなく、中国共産党政権による情報工作も含めて監視しなければならない。
この稿続く。