中国共産党の宣伝戦と、それに侵される日本のメディア――新型コロナウイルスの責任、「反日謝罪男」、捏造報道を問う

新型コロナウイルスを世界に拡散させた中国の責任を正面から追及する日本のメディアは、なぜ少ないのか。
髙山正之と大高未貴の対談を通じて、中国共産党の責任転嫁、チベット・ウイグルをめぐる政治宣伝、尖閣諸島への野心、そして中国の宣伝を受け入れる日本と米国のメディアの実態を問う。

2020-08-05
2020年、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、多くの国々が深刻な人的・経済的被害を受けた。
それにもかかわらず、日本の主要メディアでは、中国共産党政権の初動、情報隠蔽、国際社会に対する説明責任を厳しく追及する報道が十分に行われているとは、私には思えなかった。
中国政府は、自国に向けられる批判をかわすため、感染源を米国、日本、イタリアなどに転嫁しようとする宣伝を繰り返した。
同時に、チベットやウイグルにおける弾圧の実態から国際社会の目をそらすため、人民が幸福に暮らしているかのような政治宣伝も発信していた。
以下は、月刊誌『WiLL』2020年6月号に掲載された、髙山正之と大高未貴の対談からである。
コロナ問題で中国の責任を問うメディアが少ないように、日本には、かなり「中国ウイルス」に侵されている人たちがいる。
ここでいう「中国ウイルス」とは、中国共産党の宣伝、歴史観、情報工作を無批判に受け入れる精神的、思想的な状態を指した表現である。
このような情報に惑わされず、正しい認識と歴史観を持つためには、中国が何を主張しているのかだけでなく、何を隠し、誰に責任を転嫁しようとしているのかを見抜かなければならない。
【増殖する反日謝罪男】
髙山
大高さんの新著『日本を貶める――「反日謝罪男と捏造メディア」の正体』(ワック)を読みました。
面白いね。
大高
ありがとうございます。
どうも日本人の中には、中国や朝鮮半島の宣伝戦を鵜呑みにし、尻尾を振っている「反日謝罪男」が多い。
髙山
筆頭は丹羽宇一郎、鳩山由紀夫か(笑)。
大高
中国は、世界中に新型コロナウイルスを拡散させたという汚名を払拭しようと、宣伝活動に必死です。
さらに、「チベットの農奴100万人解放61周年」などと称し、あるチベット人に、
「古いチベットでの苦しい日々を経て、今の生活は、まるで夢のように素晴らしい。
2019年に、わが家が村の集団経済から受け取った配当ボーナスは10万元を超えた」
と語らせています。
これは、『人民日報』日本語版の2020年3月28日付の記事です。
髙山
大高さんの本では、ウイグルの子供たちを使った宣伝も紹介されていた。
スキーの授業を受けている子供たちの写真を掲載し、無邪気に雪遊びを楽しんでいるように見せていた。
いずれも、迫害の事実から目をそらさせるための政治プロパガンダにすぎない。
大高
ほかにも中国は、一帯一路が「コロナ街道」となったにもかかわらず、世界のパートナーとともに「健康のシルクロード」を築き、人類の公衆衛生を守る健康共同体を、今まさに構築しつつあると報じています。
『チャイナネット』日本語版の2020年3月30日付の記事です。
それこそ、涙ぐましい努力です(笑)。
世界中の人々が苦笑せざるを得ないほど稚拙な宣伝戦を、臆面もなく展開する。
しかし、日本人の中には、このような中国の宣伝を、能天気に信じてしまう人もいるでしょう。
【尖閣諸島と中国の虚偽】
髙山
中国は、嘘をつくことの天才だ。
尖閣諸島周辺に石油資源が存在する可能性が明らかになると、虎視眈々と狙い始めた。
ところが周恩来は、領有権問題について、
「今、話し合うべき時ではない」
とごまかし、明確な回答を出さなかった。
その後、鄧小平も、
「尖閣の問題は後世に委ねよう」
と述べた。
こうして、いつの間にか、日本固有の領土を両国間の係争地であるかのように仕上げていく。
まともな政治家が行うことではない。
詐欺師の手口だ(笑)。
大高
このコロナ禍においても、中国公船の数は、むしろ増え続けています。
髙山
中国は、そのような嘘を平然とつく。
中国人の作家、ジャーナリストである林語堂について、興味深い話がある。
中国人は一日、何をしているのか。
朝は太極拳をし、それから碁を打ち、書を嗜み、午後は日本人の悪口を言う、という話だ(一同爆笑)。
「反日」は、趣味の一つなのだ。
大高
自らを「小中華」とする韓国人にとっても、「反日」はビタミン剤のようなものですね(笑)。
髙山
まさに華夷秩序だ。
中国が行う虚偽の宣伝活動を、韓国は自国向けに縮小し、喧伝している。
【中国の責任を曖昧にするメディア】
大高
ピンチはチャンスです。
武漢肺炎によって、中国の嘘が全世界に知れ渡る絶好の機会ですね。
髙山
そうです。
トランプが「中国ウイルス」と言い換えたことに対して、中国は蛙の面に小便で、逆にウイルスは米国が持ち込んだと言い返した。
そのような応酬の中で、『ニューヨーク・タイムズ』は、
「今こそ新型コロナウイルスを封じ込めるために、中国も米国も、それぞれ知恵を出し合うべきだ」
という趣旨の記事を書いていた。
どこかの新聞が書きそうな話だ(笑)。
大高
「中国人を排除するより、ともに手を洗おう」
などと書いていた朝日新聞ですね。
髙山
「米国が持ち込んだ」と公言したのは、中国外務省の趙立堅報道官だった。
それに対抗して、トランプは「中国ウイルス」と言い直した。
そこには、中国が国際社会に対する責任をまったく感じていないことへの憤りが表れていた。
しかし、『ニューヨーク・タイムズ』は、米国と中国を同じ水準に置き、「米中の喧嘩はやめよう」と書く。
それによってトランプを引きずり下ろし、中国を責任ある国であるかのように装わせる。
これは、実に巧妙なデマ記事だ。
大高
米国の大手メディアにも、中国の言論工作が浸透している証拠ですね。
ましてや、日本はどうなのか。
想像するだけで、暗澹たる気持ちになります。
【小さな事実を拡大して全体像を隠す】
髙山
小さな事実を、まるで大きな真実であるかのように拡大して報じる。
引き伸ばしすぎて、全体像がぼやけてしまうほどだ(笑)。
大高
ヒラリー・クリントンも、トランプ大統領が「中国ウイルス」と言ったことについて、
「レイシズムだ」
と批判し、北京の肩を持っています。
よほどクリントン財団にチャイナマネーが入っていたのでしょうね。
髙山
感染拡大の火元は明白なのだから、レイシズム云々というレベルの話ではない。
大高
中国は、感染源を米国にしたり、一時は日本であるかのような微妙な表現を使って、逃げ道を残しながら主張したりしました。
さらに、イタリアではないかとも言い出しました。
隙があれば責任を転嫁し、他人に罪をなすりつけようとするのです。
この稿続く。
【結び】
問題は、単に中国が宣伝を行っているということではない。
国家が自国に有利な情報を発信すること自体は、どの国でも行われている。
本当に深刻なのは、中国共産党の主張を検証せず、そのまま伝えるメディア、政治家、知識人が、日本や米国の内部に存在することである。
感染拡大の経緯、中国当局による初動、情報公開の遅れ、国際機関への影響力を検証することは、中国人に対する差別とは異なる。
国家と政権の責任を問うことと、民族や個人を攻撃することを意図的に混同すれば、必要な検証そのものが封じられる。
中国共産党が何を語ったかだけではなく、何を隠し、どのように責任を転嫁し、その主張を誰が国外で拡散したのかを見なければならない。
宣伝に惑わされず、事実に基づく認識と歴史観を持つこと。
それこそが、情報戦の時代に、自らの国と社会を守るための最低限の条件である。

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