「みんなにうつせ」――武漢封鎖前の中国政府の沈黙と、習近平無罪を語る朝日新聞

高山正之氏が『週刊新潮』に発表した風刺的論説「みんなにうつせ」を紹介する。
習近平になったという仮想設定を通じて、武漢で感染症が発生した後の中国政府の情報統制、WHOの対応、世界への感染拡大、朝日新聞の武漢報道を批判した論文である。

2020-07-16
以下は、「みんなにうつせ」と題して、本日発売された『週刊新潮』に掲載された、高山正之氏の論文からである。
高山正之氏は、戦後の世界において唯一無二のジャーナリストである。
本論文も、そのことを証明している。
本稿は、読者自身が中国国家主席の習近平氏に変身したという仮想設定を用い、中国政府による情報統制や初動対応、世界保健機関、WHO、朝日新聞の報道姿勢を批判した風刺的論説である。
新型コロナウイルスの起源や、中国政府が意図的に世界へ感染を拡大させたとする主張については、当時の高山氏による推論及び風刺として読む必要がある。
科学的、司法的に確定された事実を記したものではない。
日本語の引用部分では、歴史的、批評的表現を含め、原文の語調を基本的に維持した。
以下、引用である。
【みんなにうつせ】
ある朝、貴方が目覚めたら、中南海の豪奢なベッドの上にいた。
それも、生まれたままの姿で。
傍らには、西施もかくやと思われる美女が二人、同じく素裸でまどろんでいる。
貴方が戸惑っていると、ドアが開いて眼鏡の男が飛び込んできた。
以前、新聞で見た政治局常務委員の一人、秀才の王滬寧ではないか。
「主席。大変ある。武漢でSARSが出たある」
ここに至って、自分が支那の皇帝、習近平に変身していたことに気付く。
ともあれ、裸の女たちを下がらせ、改めて何事かと重々しく問うた。
王は、武漢でSARSもどきの肺炎が流行し、おびただしい死者が出ていること、それがどうも武漢の研究所で合成中のバイオ兵器と酷似していることを伝えた。
それは空気感染で広がり、罹患すれば肺炎で死ぬが、治っても脳に重い障害が残る。
米軍基地にばらまけば、将来にわたって戦闘能力を奪える優れものだという。
それが武漢で漏れた。
我が支那人は、大口を開けて喋るから感染速度は速い。
あっという間に、人民解放軍が脳障害集団と化してしまう。
問題は、まだある。
支那は「世界の工場」として栄えてきた。
それも武漢肺炎によって止まってしまう。
そうなれば、世界は躊躇なく支那をサプライチェーンから外すだろう。
支那人の出入りも禁じられ、支那は独り、立ち枯れていく。
習近平を知的財産泥棒と罵り、高関税をかけたトランプは、多分、手を打って大笑いするだろう。
それだけは、何としてでも避けたい。
では、どうするか。
バークレー校で学んだ王は常識人だ。
この際、我が国を閉じ、支那発の疫病によって世界に死人の山を築く不名誉だけは、回避すべきではないかと進言した。
そうすれば、世界も支那の努力を称賛し、疫病退治に協力し、支那の復興にも理解を示すだろう。
日本人なら、王の言葉に頷いた。
しかし、この時の貴方は、心根まで支那人、習近平になり切っていた。
習近平は言った。
「お前は日本人か。支那だけが犠牲になってどうする」
習は続ける。
武漢には世界各国の企業が進出し、人の行き来も多い。
黙っていれば、彼らがウイルスを持ち帰り、それが拡散する。
世界中が武漢になれば、ウイルスの正体を知る支那が優位に立てるではないか。
もちろん、支那人も罹患する。
しかし、支那人は汚穢の中で育ち、疫病慣れしている。
死んでも、せいぜい30万人だ。
毛沢東が5000万人を死なせた大躍進を思えば、善政に入る。
かくして、北京は沈黙した。
その間に、火元とされたバイオ兵器研究所に残る証拠は消された。
武漢肺炎に気付いた者がいれば、即座に口を封じられた。
「SARSもどきが武漢市場で出た」とSNSに投稿した眼科医、李文亮氏は拘束され、間もなく死亡した。
WHOのテドロス事務局長は、支那が金で自らの側に取り込んだ男であると、高山氏は表現する。
武漢肺炎が世界に十分浸透するまで、「ヒトからヒトへの感染はない」と言い続けた。
ウイルスが世界に行き渡ったところで、北京は「武漢封鎖」を宣言し、疫病の存在を世界に知らせた。
米国では、間もなく一日1000人規模の死者が出始めた。
習の思惑どおり、世界各国が貧乏くじを引き、人民の命など気にしない支那が優位に立つ結果となった。
しかし、トランプは馬鹿ではない。
習近平の悪巧みを見抜き、その怒りの輪に、英国、オーストラリア、フランスも加わっていった。
習は王に、何とかしろと言った。
王が、
「天安門事件で使った新聞を使うよろし」
と答えたところで、貴方は自宅の布団の中で目を覚ました。
隣には、絶対に西施ではない人が、大の字になって寝ていた。
枕元の朝日新聞には、特別に武漢入りを許された朝日新聞記者の連載が、仰々しく掲載されていた。
それは、習が作った「発見を3か月遅らせる」日程表をそのままなぞり、トランプの疑念を嗤い、習近平無罪を巧みに語っていた。
ちなみに、英国の医療機関が、新型コロナウイルス感染による脳障害の後遺症を発表した。
支那がそれを確認してから半年遅れである。
「朝日」と書いて、「アザムク」と読むのを知っていた?

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