日米原子力協定の自動延長と日本の核燃料サイクル――プルトニウム管理をめぐる誤解と報道の責任
2018年の日米原子力協定の自動延長を機に、日本が保有する約47トンの分離プルトニウムを「原爆約6000発分」と表現する報道が相次いだ。
しかし、その大部分は英国とフランスで保管され、国内外の全量がIAEA保障措置と厳格な計量管理の対象となっている。
六ヶ所再処理工場、プルサーマル、核燃料サイクルをめぐり、恐怖を先行させる報道ではなく、技術的事実と利用計画を正確に伝える責任を問う。
本稿は、2018年8月6日に発信した櫻井よしこ氏の論考を基礎とする章を、2020年1月17日、さらに同年8月3日に再発信したものである。
同論考の題名は「安倍政権のエネルギー政策は菅直人政権と瓜二つではないか」であり、核燃料サイクル、六ヶ所再処理工場、プルトニウム保有量、日米原子力協定をめぐる政策と報道を批判したものだった。
日米原子力協定は1988年に発効し、30年の有効期間が満了した2018年7月、終了の通告がなされなかったため自動延長された。
当時、河野太郎外務大臣は、協定が日本の原子力産業の基盤である一方、日本が保有するプルトニウムを削減する努力が重要だと述べている。
2017年末時点で、日本が国内外に保有していた分離プルトニウムは約47.3トンだった。
そのうち国内保管分は約10.5トン、英国とフランスに置かれた海外保管分は約36.7トンだった。
原子力委員会が2025年8月に公表した最新資料では、2024年末の保有量は約44.4トンまで減少しており、国内約8.6トン、海外約35.8トンとなっている。
六ヶ所再処理工場では、工場の運転中、国およびIAEAの査察官が24時間体制で常駐する仕組みが設けられ、計量管理、在庫検認、連続監視、オンサイト分析などが行われる。
ただし、保障措置によって軍事転用が厳しく監視されていることと、原子炉級プルトニウムが物理的に核爆発へ利用できないことは、同じ意味ではない。
米国エネルギー省の技術資料は、原子炉級プルトニウムについて、発熱量や自発核分裂中性子が兵器設計を難しくする一方、核兵器への直接利用が物理的に不可能とはしていない。
本稿の中心的な問題提起は、日本の平和利用体制を無視して「原爆何千発分」とだけ報じることが、国民に正確な判断材料を与える報道なのかという点にある。
2020-08-03
また六ヶ所村の再処理工場には国際原子力機関(IAEA)の査察官が常駐しており、日本は厳しい管理の下にある。日本が原爆を造ることなど科学的にも物理的にも不可能である。
メディアは、日米原子力協定が自動延長されると早速、「国際社会の懸念」を報じた。と題して2020-01-17 に発信した章を再発信する。
以下が、その理由である。
私は今はNHKのニュースは殆どながら見するか、
パスすることにしている。
特にwatch9は本当に見たくないと思っている。
先夜、何気に観ていた。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kosokuro_roadmap.htmlについて、このような事は殆ど説明せずに、否定的なトーンでの報道。
面白かったのは、原発反対を唱えたいのであろう有馬が、上層部から、あまりにも恣意的な報道について、終に注意でも入ったか、
原発反対からのコメントを言いたくてたまらないが、必死になって(子供の様な顔をして)、言いたい事を堪えていた風情。
ただ、もんじゅの事故についても、具体的な事は何も報道せず、度重なる事故、と報道する。
彼らこそ本当の悪党である。
良識派、或いは真実を伝えているかのごとき態様で語るから最も悪質なのである。
前文省略。
わが国の原子力政策は文字通り、根幹から崩されようとしている。
日本は原発燃料のウランを米国などから輸入し、原子炉で使用したウラン燃料を処理してプルトニウムを抽出してきた。
これを高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)や普通の軽水炉(プルサーマル)で再利用するのが核燃料サイクルで、日本の原子力政策はこの基本の上に成り立つ。
ところが、もんじゅは廃炉と決められた。
核燃料サイクルを維持するにはプルサーマルしかない。
再稼働した原発のうち、プルサーマルが可能なのは4基のみだ。
一基の年間消費量はプルトニウム0.4トンである。
3年後に完成するとみられる青森県六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば使用済み核燃料の再処理で年間8トンのプルトニウムが抽出される。
そこでプルトニウムの保有量を減らすという原字力委員会の“公約”を実行するために、使用済み核燃料の再処理をしない、もしくは再処理を制限するという議論が生まれている。
原子力委員会の方針は、日本の核燃料サイクルを断ち切り、原子力産業を終焉に向かわせるものと読める。
菅氏の企みとぴったり重なるではないか。
再生エネルギーの巨額負担を国民に払わせ、原子力政策に失敗し、石炭などの化石燃料に突出して頼り、C02の大量排出国に転落する。
なぜわが国はこんな愚かな道に追い込まれるのか。
日米原子力協定の自動延長に至る中で日本側で、あるいは米国側からも飛び交ったのが「日本のプルトニウム保有量47トン」「原爆約6千発分」「核拡散の危険」などの情報だった。
だが、これらは正確ではない。
日本の保有する47トンのプルトニウムは、原子炉級プルトニウムであり、核兵器になる兵器級プルトニウムとは組成も異なり純度も著しく低い。
日本のプルトニウムのうち約36トンは英仏両国に委託して再処理したもので両国が保管している。
また六ヶ所村の再処理工場には国際原子力機関(IAEA)の査察官が常駐しており、日本は厳しい管理の下にある。
日本が原爆を造ることなど科学的にも物理的にも不可能である。
日本のプルトニウム保有には何の問題もない。
問題解決の唯一の方法は再処理工場の稼働と核燃料サイクルの完成だ。
にもかかわらず、不正確な、あるいは特定の目的を内包した情報の前で日本全体が萎縮した。
メディアは、日米原子力協定が自動延長されると早速、「国際社会の懸念」を報じた。
NHK解説委員の水野倫之氏に至っては「中国や北朝鮮が日本を名指しして核開発の可能性を指摘した」と論難した(8月1日「時論公論」)。
こうした情報の狙いは再処理工場を廃棄に追い込み、核燃料サイクルを崩壊させ、日本の原子力全体を葬り去ることだ。
日本のエネルギー政策に責任を持つ安倍政権は、反原発情報で日本の未来が危機に直面していることを自覚してエネルギー政策の立て直しに取り組むべきだ。