非常時に現れる国家と社会の本質――石平氏がアーサー・H・スミス『中国人的性格』から読み解く中国
2020年8月7日。
月刊誌『WiLL』掲載の石平氏の論考を通じ、19世紀後半から中国社会を長年観察したアメリカ人宣教師アーサー・H・スミスの『中国人的性格』を読み解く。
新型コロナウイルスをめぐる中国当局の情報隠蔽、責任転嫁、対外宣伝という石平氏の分析と、スミスが記した中国社会の行動原理との連続性を考える。
以下は月刊誌『WiLL』9月号別冊からである。
ここで取り上げるのは、『WiLL』2020年6月号に掲載された石平氏の論考である。
石平氏は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大をめぐる中国当局の対応を、「非常時こそ本性が出る」という観点から分析している。
そして、その考察の手がかりとして取り上げるのが、19世紀後半から長年にわたり中国で生活したアメリカ人宣教師アーサー・H・スミスの著書『中国人的性格』である。
スミスの著作は1890年に上海のNorth-China Heraldから刊行され、その後も広く読まれた中国社会論の一つとなった。
本稿では、石平氏がスミスの観察と2020年の中国当局の行動との間に、どのような連続性を見ているのかを紹介する。
【引用】
中国は世界最大の人種差別国家
アーサー・H・スミスが説く――
【石平】今も昔も…中国に「ウソつき」という言葉はない
「武漢ウイルス」の責任転嫁を目論む中国。
通常では「厚顔無恥(こうがんむち)」と思うような彼らの行動も、中国ではかつてより「ごく普通」のことである……。
19世紀後半に中国人を分析したアメリカ人宣教師、アーサー・H・スミスの著書から、今も昔も変わらない中国人の特性を紹介する。
(『WiLL』2020年6月号掲載)
中国人の行動原理は今も昔も変化していない
非常時こそ本性が出る
「武漢ウイルス」が瞬く間に中国全土、そして世界各国に感染拡大し、多くの感染者と死亡者が出て、世界中がパニック状態に陥っています。
その成り行きを観察していましたが、発生源である当の中国は、その態度はまさに「中国的」でした。
情報の隠蔽で事態を深刻化させ、被害と混乱を周囲に拡大、挙げ句に悪いのは自分たちではなく他者であると平然と責任転嫁しています。
さらには自分たちこそ犠牲者を出しながらも新型ウイルスと対峙した救世主であり、感謝されるべきだと居直り、「習近平主席は新型コロナウイルスを退治し、世界を救う偉大な領袖」というイメージを内外に喧伝している。
新華社通信は「正々堂々と言う、世界は中国に感謝すべきだ」と、啞然とするような論評を掲げたほどです(3月4日付)。
こんな中国の言動に対して、世界が憤りの目で見ています。
非常時こそ本性が出ると言いますが、こういった中国の姿勢こそがまさしく中国の本性、本質だと思います。
そしてその裏には、中国が2千年近く染まってきた儒教や中華思想の影響が見て取れます。
この中国的気質や本性、本質は少しも変化していない。
アメリカ人宣教師、アーサー・H・スミスが執筆した『中国人的性格』(石井宗晧・岩﨑菜子訳/中央公論新社)を手にとると、よくわかります。
スミスは1845年、アメリカ・コネチカット州生まれ。
ベロイト大学を卒業後、アンドーヴァー神学校で学び、1872年、アメリカン・ボードによって清朝時代の中国に派遣されました。
スミスは長年、中国人と共に生活しながら、外からの視点で中国社会の実態、行動原理、基本的思考を観察・分析しました。
その成果の一つが『Chinese Characteristics』、邦訳『中国人的性格』です。
この歴史的著作に接すると、中国人の行動原理は当時も今も、まったく変わっていないことがわかります。
スミス本の目次を見てみましょう。
〈無神経〉
〈公共精神の欠如〉
〈思いやりの欠如〉
〈相互不信〉
〈誠実さ〔信〕の欠如〉――。
いかがですか。
さらにスミスは中国人の特質を、誤魔化し、噓つき、責任転嫁……などと評する。
もうどうしようもありません(笑)。