慰安婦問題の虚偽を告発するラムザイヤー氏――欧米が「慰安婦=性奴隷」説を信じ続ける理由

2024-01-21
以下は今日の産経新聞オピニオン欄に掲載された福井義高青山学院大学教授の論文からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
見出し以外の文中強調は私。

慰安婦問題 ラムザイヤー氏の告発 
ウソを信じ続ける欧米
戦前、朝鮮半島慰安婦が日本軍に強制連行され、性奴隷にされていたという主張は、吉田清治といういわくつきの人物の全くの捏造(ねつぞう)に朝日新聞が乗せられ、日本でも一時は広く信じられるようになった。
しかし、間もなくその矛盾だらけの嘘はばれ、不覚にもお先棒を担いでしまった朝日新聞も2014年に吉田「証言」に基づく記事をすべて撤回することになった。
日本では今や慰安婦強制連行説、「慰安婦=性奴隷」説が作り話であることは公知の事実である。  
ところが、困ったことに、欧米の日本研究者の間では、いまだに「慰安婦=性奴隷」説が批判の許されない「コンセンサス」であり、欧米のメディアもそれを鵜呑みにする状態が続いている。  数年前、ハーバード大学教授で、米会社法の大家であるマーク・ラムザイヤー氏が、この偽りのコンセンサスに一石を投じた。
若き日々を日本で過ごし、日本語も堪能な彼は、慰安婦制度が当時、合法的なビジネスとして規制下で認められていた国内売春業の延長線上にあったことを理論的実証的に示し、学術論文としてまとめた。
論文は法と経済学の学術誌『インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス』に投稿され、20年11月に受理。
12月から雑誌ウェブサイトに公開された。  
しかし、その要約が翌21年1月に産経新聞のウェブサイトと紙面に掲載されるや、まず韓国からラムザイヤー氏非難の大合唱が巻き起こり、続いて米国でも日本研究者主導で論文撤回を求める反ラムザイヤー・キャンペーンが大々的に繰り広げられた。
最終的に論文は撤回されなかったものの、日本では朝日新聞も嘘と認めざるを得なくなった慰安婦をめぐる作り話が、なぜ欧米では受け入れられたままなのか。
韓国ですら、勇気ある研究者たちが事実に基づき強制連行説を否定する主張を繰り広げ、それが徐々に浸透しつつある。
それなのに、欧米ではなぜ? 
多くの日本人には大いに疑問であろう。

衝撃の一冊米で刊行
その疑問に答える著書『The Comfort Women Hoax』(慰安婦をめぐる作り話)=エンカウンター・フックス=が今月、米国で刊行される。
同書はラムザイヤー氏と、やはり性奴隷説を大学院生のときから批判し米歴史学界から追われることとなった麗澤大准教授のジェイソン・モーガン氏の共著。
米学界で有形無形の圧力を受け、発言を封じられそうになった両氏の告発の書でもある。 
その内容の紹介とともに、その刊行の意義を論じたい。
まず言えるのは、同書が学問の自由、表現の自由を追求するすべての人々にとって重要な書であるということだ。 
欧米の学界では、慰安婦問題はマイナーな問題で広く研究されているとはいえないけれども、むしろそれ故に、一部の日本研究者の「慰安婦匚性奴隷」説がコンセンサスとなり、「政治的に正しいもの」(ポリティカル・コレクトネス=ポリコレ)として確立してしまった。
だからこそ、これを覆そうとしたラムザイヤー氏は事実の論争以前に、激しい攻撃を受けたのである。
米国では、慰安婦問題に限らずポリコレに反する言論を社会的に抹殺しようとする「キャンセル・カルチャー」が猛威を振るっており、ラムザイヤー氏への攻撃は、その1例である。 
同様の例は枚挙にいとまがない。
歴史学会会長だったウィスコンシン大のジェームズ・スウィート教授は、米国史が1619年の奴隷到着から始まったとするニューヨーク・タイムズ主導の「1619プロジェクト」運動が「白人悪・黒人善」の単純な歴史観に立っていることを批判したところ、たちまち糾弾され、謝罪に追い込まれた。 
ひとたびキャンセルの標的になった人物は、まさに孤立無援となる。
友人と思っていた人たちも攻撃する側に回るのである。
しかし、ラムザイヤー氏は屈服せず、撤回にも断固として応じなかった。 
米国の大学では、主張の是非以前に、学界をリードする研究者の事実に基づく批判であっても、理不尽に攻撃される風潮が蔓延し、そのため、良識ある有望な若者が、歴史にかぎらず人文社会系学問分野を避けるようになってきている。
ラムザイヤー氏らはこれを深く憂えている。

元凶やっぱり日本人 
もうひとつ、ラムザイヤー氏らの指摘の中で、日本人が懸念すべきは、慰安婦問題をめぐる欧米の日本研究がいかに心もとないかという点だ。  
慰安婦=性奴隷」説を主張する海外の日本研究者の日本語読解や史実検証の能力は概して高い水準にあるとは言えず、少なくとも、戦前日本の文献を自在に駆使するラムザイヤー氏らのレベルに及ぶとは言い難い。 
慰安婦=性奴隷」説の研究者の論文には、同じ意見を持つ英語の論文の引用し合いが目立つ。
ラムザイヤー氏らはこれを「伝言ゲーム」と批判する。
しかも、相互引用の最終的に行き着く先は、吉田清治の捏造本か、何度も変遷し根幹において辻褄の合わない一部の慰安婦の「証言」だけなのだという。 
欧米の研究者は、韓国で慰安婦を利用してきたと批判された「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連、旧挺対協)」元代表の尹美香氏が、北朝鮮傘下の朝鮮総連の集会に参加するなど北朝鮮との関係が指摘された人物で、慰安婦のための資金を横領した(高裁で有罪判決)ことも、全くといってよいほど言及しない。 
ただ、それもこれも、もともとは日本の学界やメディアが長年にわたって間違った慰安婦イメージを意図的に広めてきた結果という一面もある。
残念なことに、そうした行為はいまも続けられている。 
ラムザイヤー氏が慰安婦論文をめぐって攻撃を受けていた時、撤回を主張する側が頼りとしたのが日本人研究者の吉見義明中央大名誉教授であり、実際、同氏自身も掲載誌にラムザイヤー論文撤回を求める論文を提出した。 
しかし、彼は2019年に毎日新聞のインタビュー(9月13日付夕刊)で、慰安婦について「①軍が選んだ業者が、女性の親族にお金を貸す(前借金)かわりに、女性を慰安所で使役する『人身売買』②業者が酒席の世話係とか、看護婦のような什事だなどとだまして連れて行く『誘拐』③官憲や業者が脅迫や暴力で強制連行する『略取』」の3つがあるとしたうえで、「植民地である朝鮮半島では①や②が多い」と明言していた。
強制連行にあたる③については、中国や東南アジアで行われたとする裁判資料や証言があると述べただけである。
つまり朝鮮の慰安婦の実態に関しては、吉見氏の見解は、売春ビジネスとみるラムザイヤー氏のそれと重なる(ラムザイヤー氏は日本と朝鮮半島以外の慰安婦については研究対象外として触れていない)。
それなのに彼は、ラムザイヤー論文の撤回を求めたのだ(奇妙なことに、このインタビュー記事は毎日新聞のデータベース「毎索」ではアクセス不可となっている)。 
今も「慰安婦=性奴隷」説に固執する学者やメディアは、表向きの慰安婦に対する同情の裏で、慰安婦の主体性を認めず、政治運動の道具として利用している。
一方、ラムザイヤー氏は「べき論」や政治運動とは一線を画して事実を議論し、当時の苛酷な環境のなかで、やむなく生きるすべとして売春という職業を選んだ慰安婦を自ら考え行動するひとりの人間として扱い、その行動を分析する。
どちらが、慰安婦への尊敬のまなざしを持っているか。
ラムザイヤー氏らの新著が、欧米における事実に基づく議論を促すことを期待したい。

2024/1/17 in Kyoto

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