危機の時代に日本を率いる指導者とは誰か――新型コロナ対応、憲法改正、安倍晋三四選論

2020年7月、白川司氏は、新型コロナウイルスへの対応、激変する国際情勢、憲法改正を実現する政治的力量という観点から「安倍四選」を支持した。
保守系シンクタンクも、法的に整備された緊急事態体制も存在しない日本で、感染拡大を一定範囲に抑えた安倍晋三首相の指導力と、安倍政権をめぐるマスコミ報道の問題を検証する。


2020年7月13日
ないないづくしの中で、なんとか世界トップレベルの対応によって感染拡大を抑えることができたのは、ひとえに安倍晋三首相のリーダーシップがあったからである。
以下は、私がDaily WiLL Onlineで発見した、白川司氏の「『安倍4選』を支持する理由」と題する論考をもとにしたものである。
同稿は2020年7月7日に公開され、翌8日に更新されている。
私が白川司氏と同様の考えであることは、これまでの記述からも明らかである。
白川氏の論考が指摘しているのは、単に安倍晋三という一人の政治家を支持するか否かという問題ではない。
新型コロナウイルスの感染拡大、米中対立の激化、中国共産党政権の覇権主義、北朝鮮の核・ミサイル問題、そして日本の憲法改正という重大な課題を前にして、日本を率いる能力を持つ政治家が誰なのかという問題である。

「ポスト安倍」で危機に対応できるのか

新型コロナウイルス一辺倒だった報道が一定の落ち着きを見せ始めると、テレビや新聞では「ポスト安倍」に関する報道が増加した。
二階俊博幹事長が石破茂氏を推すのではないか。
安倍首相は岸田文雄氏への政権継承を望んでいるのではないか。
安倍政治を継承できるのは菅義偉氏ではないか。
当時、さまざまな観測が流されていた。
しかし、白川氏は、当時の世界の動きに対応できる政治家は安倍首相か麻生太郎副総理兼財務相しかいないと論じた。
年齢や将来性を考慮すれば、現実的には安倍首相の四選しかないという判断である。
ポスト安倍の候補として名前が挙げられていた菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏、河野太郎氏では、激動する国際情勢を乗り切ることは難しい。
それが白川氏の率直な評価だった。
新型コロナウイルスへの対応で、安倍首相は激しい批判の矢面に立たされた。
しかし、白川氏は、この難局に実際に対応できる指導者は安倍首相しかいなかったと評価した。
重要なのは、政策を理想的な制度の下で実行できたわけではないという点である。
本来であれば、保守系シンクタンクが科学的、医学的、安全保障上の観点から政策提言を行い、法的に整備された緊急事態体制の下で政府が迅速に実行するのが望ましい。
しかし、日本には強力な保守系シンクタンクも存在しなかった。
国家的危機に際して、政府が迅速かつ強制力を持って対応するための十分な法制度も整備されていなかった。
そのような「ないないづくし」の中で、日本が感染拡大を一定範囲に抑えることができたのは、安倍首相のリーダーシップによるところが大きかった。
白川氏は、そのように論じたのである。

他の政治家なら同じ対応ができたのか

保守派を含む多くの人々が安倍首相を批判していた。
しかし白川氏は、批判する前に、想像力を働かせる必要があると指摘した。
民主党政権時代の菅直人氏や野田佳彦氏が首相だったら、どのような対応になっていただろうか。
石破茂氏だったらどうか。
岸田文雄氏だったらどうか。
菅義偉氏や河野太郎氏だったらどうか。
感染症に関する科学的知見が十分でなく、法制度にも多くの制約があり、世界各国が混乱している状況で、安倍首相以上の対応ができた政治家がいたのか。
そのように具体的に考えれば、安倍首相ほど対応できた人物は、ほかにはほとんどいなかったのではないか。
白川氏の主張の核心は、安倍政権の対応に一つも問題がなかったということではない。
現実の危機に直面した際、他の選択肢と比較して、誰が最も適切に国家を率いることができたのかを問うべきだということである。

安倍首相の支持率が低下した理由

安倍首相に対するマスコミの批判は、長期間にわたって続いていた。
森友学園、加計学園、桜を見る会などをめぐり、安倍首相は繰り返し批判の対象とされた。
それでも安倍政権は一定の支持を維持してきた。
しかし、新型コロナウイルス禍では支持率が大きく低下した。
白川氏は、その理由として、それまで批判の中心だった左派勢力に加えて、反中国の立場を取る保守層の一部が安倍首相を批判し始めたことを挙げた。
憲法改正を阻止したい左派勢力が、安倍首相を失脚させようとするのは予想できることである。
同じ憲法改正の志を持つ保守層が結束している限り、左派からの批判だけで政権を倒すことは容易ではない。
しかし、保守層が分裂すれば、支持率は当然低下する。
安倍首相を引きずり下ろすためには、保守分裂を生じさせることが最も効果的なのである。

渡航制限をめぐる批判は妥当だったのか

安倍首相に対しては、中国への配慮から渡航制限を遅らせ、日本国内への新型コロナウイルス流入を許したという批判が、一部の保守層からも行われた。
しかし白川氏は、この批判は正しくないと論じた。
新型コロナウイルスが2019年の段階で日本に流入していた可能性は高く、早い段階で渡航制限を実施した国でも、その後、大規模な感染拡大が発生した。
したがって、渡航制限だけによって感染流入を完全に防ぐことができたと考えるのは現実的ではない。
白川氏が重視したのは、安倍首相が多方面から批判を受けながらも、全国の学校に休校を要請したことである。
学校は、多数の児童、生徒、教職員が長時間同じ空間を共有する、いわゆる「密」が発生しやすい場所である。
ウイルスの性質も、感染経路も、治療法も十分に分かっていなかった時期に、新学期を前にして休校要請を行ったことは、感染拡大を防ぐ上で一定の効果を持った可能性がある。
しかし、その決断を正面から評価するマスコミや論客はほとんど存在しなかった。
安倍首相の判断を検証するのではなく、単に「親中」であるとの印象を与え、首相を攻撃することに終始する議論も少なくなかった。
そのような批判によって、最終的に誰が利益を得るのか。
白川氏は、そこまで考える必要があると訴えたのである。

憲法改正を実現できる指導者は誰か

左派勢力が憲法改正を阻止するために、さまざまな手段を用いていることは明らかである。
安倍首相に限らず、政治家が憲法改正を本格的に主張した瞬間、主要メディアから激しい攻撃を受けることになる。
誰が首相になったとしても、憲法改正を阻止するための批判と政治的圧力は続くだろう。
問題は、その批判の嵐に耐えながら、憲法改正を前に進める政治家が、安倍首相以外に存在するのかということである。
ポスト安倍候補とされた政治家の中に、当時のマスコミによる総攻撃に耐えられる人物がいたのか。
「憲法改正」を口にした途端、激しい批判を受け、簡単に引きずり下ろされる可能性はなかったのか。
「安倍首相では憲法改正ができない」という批判も存在した。
しかし白川氏の認識は異なっていた。
安倍首相だから憲法改正ができないのではない。
安倍首相をもってしても、憲法改正は簡単には進まないのである。
日本国憲法が施行されて以来、一度も実現していない憲法改正は、それほどの難事業である。
左派勢力や主要メディアが強く反対し、国民投票という高い壁も存在する。
それを成就できる可能性を持つ政治家がいるとすれば、安倍首相しかいない。
本気で憲法改正を願うのであれば、安倍四選を支持するほかに現実的な選択肢はない。
それが白川氏の結論だった。

「アベ友」という虚像

安倍首相を支持する人々に対しては、「アベ友」という言葉が使われてきた。
安倍首相の周囲に支援者が集まり、互いに利益を分配する一種の利権集団を形成しているかのようなイメージである。
しかし、白川氏は、そのような理解は現実とは正反対であると指摘した。
安倍首相を支持したからといって、利益を得られるわけではない。
官僚が安倍政権に配慮したからといって、必ずしも得をするわけでもない。
白川氏は、安倍首相を支持したことによって、むしろ激しい批判や攻撃にさらされた人々を例に挙げた。
TPP交渉を立て直す上で大きな役割を果たした甘利明氏は、週刊誌報道をきっかけに表舞台から退いた。
山口敬之氏は、刑事手続上不起訴処分となった後も、犯罪者であるかのような激しい批判にさらされ続けた。
小川榮太郎氏は朝日新聞報道を批判し、言論による反論ではなく、高額の損害賠償を求める訴訟を起こされた。
加計孝太郎氏や籠池夫妻をめぐっても、「安倍首相に近い人物」というイメージが繰り返し利用された。
これらの事例をどのように評価するかについては、それぞれ慎重な検討が必要である。
しかし、少なくとも「安倍首相を支持すれば利益を得られる」という単純な構図では説明できない。
安倍首相を支持したために、マスコミから注目され、激しい批判にさらされた人々が少なくなかったことは事実である。

安倍晋三という政治家の本質

安倍首相は、独断だけで政治を進める人物ではない。
多くの人々の話を聞き、異なる意見を調整しながら判断することが、その政治姿勢の本質である。
独裁者という表現から最も遠い政治家の一人だった。
自分を応援しているからという理由で、特定の人物を露骨に優遇する政治家でもなかった。
その意味で、損得勘定から離れた政治家だったのである。
特別な利益を与えてくれるわけではない。
それでも安倍首相を応援する人々が絶えなかった。
その事実こそ、安倍晋三という政治家の希有さを示している。
政治家に接近する人の中には、自分が何らかの利益を得たいと考える者もいるだろう。
しかし、安倍首相を支持する人々の多くは、何かを返してもらうために応援していたのではない。
安倍首相を応援しても、金銭的、社会的な利益が返ってくるわけではない。
返ってくるのは、本人からの感謝の言葉と、安倍首相を敵視する勢力からの激しい批判である場合さえあった。
それでも支持者たちは、安倍首相が日本のために、まっとうなことを実現しようと努力していると信じていた。
その感謝の言葉だけで十分だと考えていた。
白川氏自身も、その一人であると述べている。

なぜ「安倍四選」なのか

白川氏は、安倍首相には利権がないと論じた。
大規模な利権構造や明白な汚職によって追及することができないため、反対勢力は安倍首相に「汚い政治家」という印象を付けようとしているというのである。
もちろん、政治家を批判する自由は保障されなければならない。
安倍首相を嫌うことも、それ自体は個人の自由である。
しかし、自分が嫌っているという理由だけで、根拠なく他の腐敗した政治家と同一視し、汚職政治家であるかのようなイメージを作り出すことは公正ではない。
利権だけを追い求める政治家が、長期間にわたって国民の支持を維持できるはずがない。
白川氏は、安倍首相を支持し、四選を実現してほしいと明言した。
当時、世界は根本的な変化が始まる黎明期にあった。
米中対立は激化し、中国共産党政権は軍事的、経済的な膨張を続けていた。
新型コロナウイルスは国際社会の構造を大きく変えようとしていた。
このような時代を、凡庸な指導者が乗り切ることはできない。
四選を引き受ければ、安倍首相の心身にさらに大きな負担がかかる。
本人も必ずしも望んではいないだろう。
それでも、日本の将来と、日本の子供たちの未来を考えるならば、安倍四選しかない。
それが白川司氏の結論であり、当時の私の考えでもあった。

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