花々はメンデルスゾーンを聴く――庄司紗矢香のヴァイオリンと京都府立植物園・長居植物園

2026年6月11日、京都府立植物園。
そして6月12日、長居植物園。
初夏の二つの植物園で撮影した花々を、今度は庄司紗矢香のヴァイオリンで綴った。
曲は、メンデルスゾーン《ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64》。
同じメンデルスゾーンであっても、演奏者が変われば、音楽の風景は変わる。
そして不思議なことに、音楽が変われば、同じ写真の花々まで違った表情を見せ始める。
庄司紗矢香のヴァイオリンには、鋭い知性と透明な美しさがある。
しかし、それだけではない。
その澄み切った音の奥には、抑えきれない情熱と、音楽の深部へ踏み込んでゆく強靱な意志がある。
第1楽章。
静寂を破るように独奏ヴァイオリンが現れ、あの忘れ難い旋律を歌い始める。
花々もまた、その音に導かれるように、一輪、一輪、その姿を現してゆく。
第2楽章。
音楽は静けさを取り戻し、時間そのものがゆっくりと歩み始める。
初夏の光の中に咲く花々。
その一瞬の美しさと、ヴァイオリンの長い歌が重なる。
そして第3楽章。
音楽は一転して光を放ち、軽やかに、鮮やかに駆け抜けてゆく。
花から花へ。
京都から大阪へ。
写真は音楽とともに、再び生命を与えられてゆく。
2026年6月11日の京都府立植物園。
2026年6月12日の長居植物園。
私がそこで見たのは、その日、その時にしか存在しなかった光と花々だった。
しかし写真に残された一瞬は、音楽と出会うことによって、再び時間を動かし始める。
庄司紗矢香のメンデルスゾーン。
そのヴァイオリンとともに眺めると、初夏の花々は、また新しい姿を見せてくれる。
写真と音楽。
一瞬と永遠。
花はやがて散る。
演奏もまた、鳴った瞬間に消えてゆく。
だからこそ、その一瞬は美しい。
京都府立植物園と長居植物園の花々を、庄司紗矢香が奏でるメンデルスゾーンとともに。

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