共通の尺度が育てるプロ意識――中西宏明が構想した日立36万人のグローバル人材経営

共通の尺度皆がプロ意識…日本経済新聞6月12日(日)7面より

2011-6-12

日立製作所社長 中西 宏明社長
グループ36万人、どう使いこなす?

日立製作所が世界規模で人材活用を進めようと新たな人事制度を導入する。
世界900社超のグループ会社で働く全従業員36万人の人材データベースをつくり、管理職以上の評価基準も世界で統一する。
報酬の仕組みも変える。
その狙いを中西宏明社長に聞いた。
――なぜ世界規模の人材管理が必要なのか。
「海外展開を進めるには、グループ間の人材交流を活発にして日立の文化をグローバルなものに変えないといけない。日本は世界の一地域でしかないとの意識改革も必要だ。終身雇用など日本の特殊性を否定する必要はないが、海外に押しつけてもうまくいかない」 
「仕事への積極性で日本人に勝る現地社員は多い。彼らをうまく使いこなせないと、必ず経営に遅れが出る。だから現地に司令塔機能を持たせ、経営させることが大事になる。優秀な経営幹部層を世界から見つけ出したいとの思いもある」 
――人材データベースや世界共通の職務評価制度を導入する狙いは。
「採用、評価、処遇、教育の各種施策を、これからグローバルで統一していく際の基礎情報になるのがデータベースだ。今後、日立グループとして注力していく(環境配慮型都市開発などの)パッケージ型インフラ輸出には多様な人材を適所に集める必要がある。その際にデータベースが役立つ。今は誰がどこにいるかわからない状況だ」
――報酬の仕組みはどう変わるのか。
「日本の部長級が米国法人に異動して副社長になっても、報酬を日本の基準で決めると米国人の副社長より低くなる。実際、私かハードディスク駆動装置(HDD)をつくる米国子会社のトップだった時、優秀な日本人の部下を米国に呼び寄せようとしたら嫌がられた。共通の評価制度を導入すれば、こうした状況も変わる」
「日本の給与体系もいずれ、この仕事ならこの賃金という職務給に近づくと思う。外国人と同じ体系になれば、日本人がプロ意識を持つようになるはずだ。それも狙いの一つ。居心地が悪いと思う人がいるくらいがちょうどいい」
――企業にとり人事情報は機密のはず。上場子会社の独立性が失われないか。
「日立製作所はクループ会社が海外進出する際に、人材面など様々な支援サービスを提供したいと考えてる。どんな人材構成で攻めるべきか提案したり、必要なら日立本体や別のグループ会社の人材を引き抜く支援もする。グループ会社は自分の業界内で勝ち残るために、グループ内の人材をどんどん使ってほしい」

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